検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:7,746 hit

3:粗品 ページ4

差し出されたお菓子の包みに驚いて、水樹くんの顔をまじまじと見詰めてしまう。めっちゃ変わってるなこの人…何かお返しできるものとかあったかな……

「……あの、ごめんなさい、いま何も持ってなくて…」
「?……お構い無く?」

首をかしげる水樹くんにつられて私の頭も傾く。
……たぶん端から見ればこれ以上ないくらい滑稽だろう。

ちょうどその時先生が教室に入ってきて、お喋りに興じる生徒達に座るようにと指示をだした。
私と水樹くんはお互いにペコペコ頭を下げながら席について、担任の先生の自己紹介に耳を傾けることになる。

配られる手紙やら何やらのプリントを整理しつつ、健康調査表に必要事項を記入する。
生徒手帳にも名前と住所、生年月日を書いたところで、隣の水樹くんが固まっていることに気づいた。

「……あの、水樹くん」
「ん?」
「良かったらボールペン貸し、ましょうか?」

はい、と差し出したピンク色の三色ボールペンに、水樹くんはふっと目元を緩めて「うん」とペンを受け取った。

「かたじけない」
「か、…いいえ、どういたしまして…」

何時代だよ。と突っ込みたくなるのをぐっと堪えて、新しいクリアファイルにプリントを突っ込みながら、それでも耐えきれず、ついに、ふふ、と小さく吹き出してしまったのだが、どうやら周囲には聞こえていなかったらしい。
……良かった。



4:部活→←2:開幕



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
25人がお気に入り
設定タグ:DAYS , 水樹寿人 , 君下敦
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年9月24日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。