2:開幕 ページ3
「A〜何組だった?」
「2組、綾は?」
「アタシは1組、離れちゃったね〜」
私立聖蹟高校。
スポーツ上達の近道は良く勉強することと教えられていたお陰で、我が家の最寄り、自転車で15分程度のこの学校に進学することができた。
部活勧誘の勢いはすさまじかったし、女子サッカー部があることに少なからず驚きはしたが、ひとまずは帰宅部と言うことで落ち着くことにしたい。
同じ中学から進学してきた友人─綾と教室のあるフロアまで上がり、それぞれのクラスへとわかれる。
前方の黒板に張り出された座席表を確認してから、自分の席を見つけ、荷物を置いた後腰を下ろし、静かに息を吐き出した。
コーコーセーか。
花のJK何て言われるが、自覚はない。
ぱらぱらと増えてくるクラスメートをぼんやり眺めながら、無理矢理押し付けられた部活動のチラシを流し見する。
歌うのは好きだし、軽音楽部とか楽しそうかも。うわぁ、化学研究部とか、入るやついるんだろうか、物好きだなぁ。
ぴらぴらとチラシを捲っていれば、かたり、と隣の椅子が引かれ、思わず顔を上げた。
運動部系のチラシを腕に抱えた彼は、妙に澄んだ少年のような瞳で一つ瞬きをすると、ぺこりと律儀に頭を下げた。
「水樹寿人です。よろしくお願いします」
「あっ、優利Aです。ご丁寧にどうも…です…」
「粗品ですが……」
「そ、粗品!?」
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作者名:豆 | 作成日時:2020年9月24日 1時