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シューは、さっくりふんわり焼かれた生地で少し口にしただけでも甘さが伝わってくる、サクサクとふわふわのコントラストがしっかり取れたものだった。
卵の存在を存分に感じられるカスタードが舌を覆い尽くし、それをまたシューが優しく包み込む。ほんの少しカスタードに混ぜられたリキュールが、食べ進める口を止めてはくれない。
甘さと甘さで舌が重くなれば、すぐさまコーヒーがそれを中和する。舌に残った甘味が、よく煎られた苦いコーヒーと混ざり合い喧嘩することなく喉の奥へと消えていく。
そうしてさっぱりとした口の中に、またシュークリームを頬張るのだ。この永久運動は、なかなか止められない。
「うっ……めえ！ 」
ようやく言葉を発せたのは、口の周りをクリームだらけにした後だった。
向かいの桃城はもう既に三分の二を食べ終えており、クリームは鼻の先にまでくっ付いていた。
「桃城！ 鼻、クリーム付いてんぞ」
「え、マジ？ いやー、しっかしうめぇなこのシュークリーム！ 」
「ああ、こんなの初めて食った！ 」
けど、昔食べたあのシュークリームはもっと優しい味がしたっけな。その方が好みだったんだけど。
ふと、また過去の記憶を思い出し、アキラは食べ進める手を止めた。
(このシュークリームも充分美味いけど……橘さんのシュークリームも美味かったよなあ)
部活終わりにと差し入れられたシュークリーム。口に広がる、彼の家の味。そして、それを手に微笑むのは。
(……いや、やめよ。未練がましい)
彼は途中で思い返すのをやめて、またコーヒーを啜った。
喉の奥に消えたコーヒーを確かめて、また絶品のシュークリームにかぶりついたのだった。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます！表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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