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「さあて……」
買ってきた物を台に置き、ボタンを外して腕を捲る。綺麗に手を洗ったら、準備はオッケー。
残るリンゴは八個。全部加工しちまおう、許可は既にとってある。俺は、徐に戸棚からステンレスのボウルと鍋、計量カップと計りを取り出した。
手始めに、長持ちするリンゴのジャムの下拵え。時期も時期だし、赤く色を付けよう。
材料は砂糖とレモン汁。水はリンゴから勝手に出るから、いらねえ。
リンゴの皮を剥いて小さくしたら、ボウルに移して砂糖をまぶす。これでしばらく、置いておく。
その間にあと二品。先に小麦粉とかの粉類とバター、牛乳。あとは……砂糖も計量しちまうか。
計量が終わったら、残ったリンゴ四個の皮を剥いて、等分する。今度は皮は捨てる。
先に煮リンゴの準備。等分したリンゴを更に小さくしてから、鍋にバターを敷く。そこでリンゴに熱を通したら、砂糖を。
キャラメルの甘い匂いに堪らなくなる前に、リンゴが茶色くなるまでなんとか面倒を見てやる。
そうしたら、粗熱を飛ばす間にマフィンの準備。バターはわざと柔らかくしてあるから、このまま砂糖を混ぜていく。
白っぽくなったら牛乳を少しずつ。ここで一気に加えると分離して、完成した時の舌触りが悪くなるから要注意。
混ざったら粉を入れて、大きく混ぜて生地を押さえる。これを粉けがなくなるまで繰り返して、もっちりとした仕上がりになるようにしていく。
オーブンの余熱をしてから、バターを塗っといたマフィン型に生地を入れ、そこに生のリンゴを埋め込み焼く……と。
さ、あとはパイシートを広げて。普段はちゃんとパイ生地まで自分で作るけど、今日は省略。
折角だから見栄えを良くしよう。煮リンゴを移した上からもう一枚パイシートを被せ、丁寧に丁寧に編んでいく。
感謝と、あと……喜んでほしいって気持ちも。シートに込めて。
台所中に、バターと砂糖の匂いが広がり染み込む頃。俺は、完成したお菓子を持ってリビングに戻った。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます!表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年4月5日 16時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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