ORDER3 ページ16
「すいません、ありがとうございます。見ず知らずの人に……」
水を飲み終えてから、改めてお礼を言った。その人は笑う姿すら、絵になる。
「良いのよ。死にそうな人を見かけたら放っておけないわ」
うわ、ほんと。マジで天使かよ。聖母？ 女神？ 何れにしても俺は、助けてくれたその人にゾッコンだった。
「そ、そういや……名前言ってなかったですよね。俺、丸井ブン太っていいます」
「ブン太くん？ そう、私はAよ。喫茶店の店主をしているの」
「へ？ 喫茶店？ 」
「ええ。この丁度下がお店になっているのよ。父も私もコーヒーが好きでね……焙煎は他のお店にお願いしているんだけど、いろんな所に豆を引き取りに行ったりしてるものだから。匂いがついちゃって」
なるほど。香ばしい匂いは焼けたコーヒー豆の匂いか。
しかし、店をしてるってならこんな所で悠長に看病なんかしてて平気なんだろうか。
「あの、大丈夫なんですか。店」
「今日は定休日だから。貴方が心配しなくても大丈夫よ」
「なんだ……なら良かった、」
その時。情けない音と共に腹の底から空気が漏れていくような感覚を覚えた。
音の正体とその感覚に、一気に背筋が凍りつく。いやだって、最悪すぎんだろぃ。この人の前で盛大に腹鳴らすとか……
日頃の食い意地をこれ程悔やんだ日はない。最も、単純に安心しただけかもしれなかったけど。
「ふふ、ほっとしちゃったのかしら？ 」
「…………聞き流してください」
「あら、そう？ 素直に言うことは聞くべきよ、体は正直なんだから」
そういう意味で言ったんじゃないんだよなあ、と思わず俺は下を向いた。
すると、Aさんは何か食べた方が良いとまた下の階に下りていった。
凄まじい音に俺が飛び上がったのは、それから数分後のこと。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます！表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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