ORDER1 ページ14
嗚呼、暑い。暑い。一体こんな地獄、いつまで続くのだろう。しぶとく生き残って鳴き喚く蝉が、うざったくて仕方ない。
丸井ブン太。ただいま就活連敗中。専門学校生の風当たりがこんなに強いとは、今の今まで気が付かなかった。
身につけたスーツのせいか、嫌に体が蒸す感じがする。熱がこもって、逃げ場をなくしてってるってか。
俺は、パティシエを目指して製菓の専門学校に進学した。留学も特にせず、フラフラしてた……といえば言い方が悪いが、実際そうだった。
そんな俺に、世間の風は案外強く吹き付ける他ない。その答えが、未だに脱げないこのスーツ。
(……あ……やっべ……)
段々と、目の前の風景がぐにゃぐにゃになっていく。俺、死ぬかもしれない。マジで。
……や、別に死んでも良いのかもしんね。このまま就職できないでヒキニートになるくらいなら、いっそ。
嗚呼、こんなクソみたいな人生積むくらいならもっと違う道探しゃあ良かったよ……
「……あっあのっ貴方大丈夫……！？ 」
どっかから優しい声が聞こえた。
何だ？ もう天使様がお迎えに来たのか？ 目の前あっちぃタイルしか見えないし、早く楽にしてほしいぜぃ……
あー、なんか……人の声がめっちゃ聞こえる。俺、天国に行けたのかな……？
(親父……母ちゃん……不甲斐ねぇ長男を許してくれぃ……弟たち、せめて幸せになれよ……)
家族の顔が次々と脳裏に浮かぶ。こんな所で挫けたけど、実際中学も高校も楽しかったよなあ……
走馬灯っぽいものを頭痛の陰で見送りながら、俺はそのまま意識を失ったのだった。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます！表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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