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「マスター、知ってるかい？ こないだ大通りの方で事件があったんだよ」
「あー、それニュースで見ましたよ。ご覧になったんですか？ 」
口を挟んだブン太に渋い顔をしながら、常連はAに向かって話を続けた。
「ご覧になったも何も、実際野次馬で見てたからねえ。大学生同士のいざこざって感じだったけどさ」
「あらあ……それは大変ねえ」
「他人事だなあマスター。しっかし、今の子のいざこざは怖いね。殴り合いじゃすまないんだから」
Aは、ただ黙って湯を豆に注ぎ続けた。立ち上るアロマを背景に、常連は話を続ける。
「色恋沙汰が原因だってね。にしても、犯人の男。変な話してるそうじゃないか。事情聴取しても支離滅裂な事しか言わんらしいね」
「へえ。何言ってんでしょうね。過去と今と未来がごちゃ混ぜになっちゃってるとか」
「そんな、漫画みたいなことあってたまるかね。それよりもブン太くん、僕はマスターと話してるんだよ。君は接客しないとダメだろう。それで、マスター。もし良ければなんだが、今度の定休日に……」
「はいはいはい、そういう所あるからですよー。うちのAさん誘惑すんのやめてくださいよ」
「お待ちどうさま」
二人の会話を遮るように、Aはカップとソーサーをカウンター越しに机に置いた。
漂う細い煙が、笑顔のAと常連客の間に壁を作った。これには、彼も渋々話をやめてコーヒーを啜る他はなかった。
記憶が混ざったのか。過去の記憶が彼を支配したのか。はたまた。
「……ブンちゃん」
「はい？ 」
「怖いわね」
「……そーですね」
カラコロと、客の来店を告げるカウベルが鳴った。
吹き込む夏風が、真夏の盛を告げるように太陽の熱を『クロック』に運び込んだ。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます！表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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