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「ったく……せっかくの休みなのに、なんでお前に付き合わされなきゃいけねえんだよ」
あちこちで鳴く蝉。照り返すアスファルトの高熱。容赦なく髪を焼き払わんとばかりに照りつける太陽。季節は、夏真っ盛り。
両手に荷物を抱え、じっとりと目を向ける先の男は調子よく片手をあげながら、溌剌と答えた。
「だーかーらー悪ぃって! 暇な奴にしか頼めなくってさー! 」
「悪かったな暇で! つーか桃城、よくこんなに買うもんあるよな。イメチェンでも狙ってんの? 」
「まー、半々ってとこだな! せっかく大学生なんだし、やりてぇことやってみてぇじゃん? 」
「張り切りすぎて後期スベんなよ……」
男の話を半分ほど聞き流しながら、彼__神尾アキラはうんざりと太陽を見上げた。
アキラを振り回す男は、桃城武。中学時代の知り合いであったが、大学でばったり再会してからは、何となく連みを続けている。
「しっかしあちぃな……なあ桃城、どっかで休んでいかねぇ? 」
「あー……そうだな。確かに俺も喉渇いてきたわー」
どこかに休める場所はないか、と二人は辺りを見回した。
しかし、目指す最寄り駅は郊外の駅。閑静な住宅街が広がる他は、目立つものは何もなかった。
と、その時。不意に、アキラの鼻腔を芳しい匂いがくすぐった。
匂いを辿るとそこには、メニューの示された黒板。そして『喫茶クロック』という看板と、ドアに掛かった
「へー、こんなとこに喫茶店なんてあったんだな」
「おっ丁度よかったな! ここで休憩してこうぜ! 」
話はトントン拍子にまとまり、二人は涼風の満ちた店内に足を運んだのだった。
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます!表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年4月5日 16時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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