ORDER9 ページ10
時は夕暮れ。驚く彼女の背後には、朱く沈みかけた太陽。
告白には最高のシチュエーション。言った後になって、心臓はとくとくと音を増した。
「……アキラくん、その……ごめん、いきなりで私も、ちょっと……」
「え！？ あ、ご、ごめん！？ 」
「謝んないでよ、ただちょっと時間、もらえないかな？ 」
「いいよ！！ 全然！！ 返事、いつでも……学校でも、メールでも良いから！ 杏ちゃんのいい時でっ……」
「ほんとに？ ありがと、じゃあ……とりあえず、また明日ね」
焦るだけ焦った感情の疲労は、彼女が校門を出ていった直後にどっと押し寄せてきた。
言えた。ようやく。数年越しの想い。寝かせすぎて熟しきっていた気持ち。力が抜けていくのを感じながら、アキラは夕焼けの空を見上げた。
胸の奥にかかった靄が、みるみる晴れていく。ただ、勇気を出せなかった自分が心残りだった。
「夢じゃないんだよな……？ 」
ラケットバッグの重みと、肩の痛みが自分のいる空間が本物であると、まざまざと伝えてくる。
嗚呼、自分はこの手で過去を変えたのか。自分の人生と未来を変えたのか。これで、告白の返事がオーケーであればもう何も望むことはない。
(あれ？ ……でも、タイムリミットっていつまでだったっけか？ )
肝心なことが、彼の記憶からはすっかり抜け落ちていた。まあいいか、と彼は立ち上がり、校門を出た。
今は、家に帰ろう。そして、休息をとろう。明日、また笑顔で彼女に会おう。
眠って、体を癒せば全てが上手くいくはずだ。目を覚ませば、何も変わらないいつもと同じ日々が待っているはずだ。
そう、いつもと変わらない。そんな日々が＿＿
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幻想曲(プロフ) - 神の子依存症@鈴歌さん» ありがとうございます！表現の仕方については私もこの作品を作る上で気をつけている点なのでそう言っていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
神の子依存症@鈴歌 - 初コメ失礼します。情景が浮かぶような、風景画みたいな表現のしかたと不思議な切ない話に惹かれて前作から読みました。更新楽しみにしています。無理しない位で頑張って下さい (2019年4月5日 15時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
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