【全.身.組】秘密のカフェテリア

１８杯目 ページ19

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　テキパキと仕事を片付ける彼女をぼんやりと見ている間に時間が過ぎる。

　正直全然飽きねぇし足りてねぇけど、怪しまれるのもごめんだと、俺は腰を上げた。その時ふと思い出す。

　……そういや、これ入れてたよなぁ。

　また鼓動が早くなる。嫌に手汗が滲む。





　今更だけど、変に思われたりしないよな？ 軽い奴だって思われない？ もっと段階得るべきだったんじゃ？

　色んな不安がぐるぐると渦巻く。しかし席を立ってまた座るとか不審過ぎる。

　そろりとレジに向かって、お願いしますと伝票を出した。


「ありがとうございます。マカロンどうでした？」

「え、あ……美味しかった、っす」

「甘いもの好きなんですね」

「……まぁ、はい」


　おいおいなんだこのクッソつまんない返事は！ 他にあんだろ！ 働け俺の口！ つーかやっぱ彼女可愛いなぁ！？ ほんとにムカつく態度ばっかでごめん！！

　このままじゃ良くないと、俺はポケットに突っ込んでだ手を握り締める。大丈夫、まだ話せてる。





「気に入ってくれたみたいで何よりです。また来てくだ――」

「あの！」

「……はい？」


　彼女の言葉を遮って俺はやっと前を向いた。久々に彼女の大きな瞳と目が合った。彼女と話す時、いっつも下向いてたもんな。





「……いつもケーキ美味しいです。楽しみにしてて……」

「っふふ、嬉しいです」

「それで、あの……もっと、話したいなって」

「……ケーキのですか？」

「や、ケーキじゃなくて！ あ、いや、ケーキもですけど！」


　勢いに任せてポケットから手を出す。少し握り締めた所為でシワの寄ったそれをそっと置いた。





「――気が向いたら、話して欲しいなって……」

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