１３杯目 ページ14
「失礼します。こちらオレンジジュースとケーキです」
「あ、ありがとうございます……！」
やっと店内の雰囲気に慣れたとこでまた彼女が席に来た。途端に緊張するが、さっきの態度のままじゃ良くないだろうと何とか姿勢を正し、声を振り絞った。しかし顔を見るまでには至らなかった。
ごゆっくりと言い残して彼女がカウンターに引っ込む。後ろ姿を眺めて、怪しまれない様にと店内を見渡した。
……にしても客少ねぇな。知る人ぞ知るって感じなのか？ 接客してんのも彼女一人だし。まぁある意味落ち着けるから良いんだけどよ。
＿＿＿＿＿
「――はい、丁度お預かりします」
やっぱり会計してくれるのも彼女だった。目も合わせられぬままレシートを受け取ると、あの……と遠慮がちに声を掛けられる。
「……なんか、すみませんでした」
「……へ？」
声掛けてもらえた！ わんちゃんあるぞ！ なんて意気込んでたが、予想外の言葉に間抜けな顔を晒してしまう。
「えっと……？」
「無理させてしまったかなって……」
ごめんなさいと頭を下げる彼女に言葉が詰まる。
いや確かにこんなトコ入り慣れてないから緊張はしたし、コーヒーも飲めずダラダラしてましたけど、ここに入るって決めたのは俺の意思だし、君の顔もう少し眺めたかったとか思ってたんで全然大丈夫です、キモくてすみません。
……と、早口に捲し立てなかった俺を褒めてほしい。
「や、別に無理なんて……！ つか、俺こそすみません……。コーヒーも飲めないのに……あ、ケーキ美味しかったです！」
何とか誤解を解こうとしても口走る内容がめちゃくちゃだ。それでも、
「マジで、迷惑とか思ってませんから……！ また来たい、です！」
不格好でも、彼女に本心を伝えておきたかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - 空人さん» 初めましてー！ ご丁寧にありがとうございます！！ 伝えたい事が伝わってるみたいで良かったです笑 これからものんびりと構えて頂ければ幸いです。 (2019年5月9日 18時) (
レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
空人(プロフ) - 初めまして…とても好きです…どっちも好きなんですけど罪悪感も湧いちゃうからもどかしいです…でもそこが好きです…応援してます…更新待ってます (2019年5月8日 16時) (レス) id: cf96997cc2 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 綾香さん» ひゃー、ありがとうございます！！ お待たせしてすみません！！ これからも気長にお待ちください() (2019年5月7日 16時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
綾香 - すごい面白いです！次楽しみにしてます！ (2019年5月6日 20時) (レス) id: a7953e375e (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 結衣さん» ありがとうございます！ 好みにハマるなんて嬉しい限りです！！ これからもマイペースに書かせて頂きます！ (2019年4月8日 16時) (レス) id: 801b3df5dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作者ホームページ：https://twitter.com/uranai_aoi/status/1087256584701370370?s=19...
作成日時：2019年3月25日 16時
