自己紹介 ページ4
助けは絶対に来ないって、そう思ってた。
目が覚めるとそこは真っ暗な冷たい部屋じゃなく、真っ白な暖かい部屋だった。そして目の前には褐色の肌の男。
「あ、起きた?」
どうしてここにいるんだろうと考えているとこちらに気付いたようで、にこっと笑みを向けられる。何だろう、なんか嫌だ。
「お、はよう、ござっいま、す……」
「おはよう」
「あの、わたし、なんで……?」
「その前に、はい水。声枯れてる」
差し出された水に嫌な記憶が蘇る。この人もグルなのだろうか、これはアメとムチとかいうやつで甘い飴なのではないかと思考がグルグル回る。
いつまで経っても飲まない私を見て、呆れたのか察したのかわからないけど、一口手の中にあるコップの水を飲んだ。
「大丈夫、何も入ってないよ」
いや、いやいやいや、なぜ口をつける。唾液に毒素が入っていたらタヒぬではないか。
「何も入ってないから、安心して」
「そこまで、言うなら……」
少しだけ、口に含み飲む。身体は限界まで乾いていたようで、ゴクゴクと一気に飲み干してしまった。
見ると満足そうな顔で頷いているので、本当に何も入ってないんだなと認識した。
「あ、自己紹介がまだだったね」
「そう、ですね」
「僕の名前は安室透。呼び方は自由で構わないよ」
安心するような優しい声と雰囲気。何より顔、顔が優しすぎる。詐欺師を相手にしているみたい……。
「君の名前は?」
「わ、わたしは、A……です」
「名字は?」
「わかりません……」
「そうか……」
困った顔をされる。やっぱり偽名でもいいから名字を作っておくべきだった。
私のこの後悔は数分後、思わぬ形で消え去ることになる。
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Code(プロフ) - 姫でした…すみません (2018年6月21日 20時) (レス) id: 07dcc038dd (このIDを非表示/違反報告)
Code(プロフ) - 明里香さん» 指摘ありがとうございます!些細なミスで楽しい気分を台無しにしてしまい申し訳ありません。すぐに直します!ミスがないようにしますが、もし誤字脱字等ありましたらまたご指摘してくださると嬉しいです!これからも『囚われの少女』をよろしくお願いします! (2018年6月21日 11時) (レス) id: 07dcc038dd (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「性」ではなく、「姓」です。 (2018年6月21日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
Code(プロフ) - ふるるさん» ありがとうございます!少しずつ更新していくので降谷さんと夢主ちゃんのこれからを見守っていただけたらなと思います! (2018年6月17日 23時) (レス) id: c72d04c443 (このIDを非表示/違反報告)
ふるる - 題名に惹かれてきました!面白くてこれからどうなるかドキドキします!頑張って下さい! (2018年6月17日 8時) (レス) id: c313831c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Code | 作成日時:2018年6月13日 0時