囚われの姫

約束 ページ11

彼女が願いを俺に言った時、複雑な気持ちになった。

｢ただいまー｣

部屋の明かりがついていない、物音がしない。寝ているのか。リビングへ進むとソファーで彼女が寝ていた。起こすのもあれだからな……。晩御飯を作っていよう。

｢ん……とーる？｣

｢あ、おはよう｣

｢おはよー｣

目をくしくしと擦る姿はとても可愛らしい。

｢よく眠れたかい？｣

｢うん……｣

｢どうかしたかい？ 嫌な夢でも見た？｣

問うても答えない彼女の姿に疑問を持つ。まさか、まさか。嫌な予感は当たる。

｢あのね、とーる。わたし、そとにいきたい｣

ガツンと殴られたような衝撃が走る。ついにまさかの事態が来てしまったか、と。事件のことを知ってしまう。まだ、まだ早い。

｢まだダメだよ｣

｢なんで？｣

｢理由は言えない。でも、まだダメなんだ｣

｢まだってことは、いつか、そとにでていいの？｣

｢あぁ……｣

｢……がまん、する｣

｢できるだけ早く、外に行けるように頑張るね｣

しょぼくれる顔を見て、心がちくちく痛む。頭の奥がくらくらする。目がだんだん熱くなる。早く犯人を捕まえなければ。彼女の心が完全に癒えるまでに。外に、出る前に。

｢やくそく｣

彼女をまたあの薄暗い部屋に閉じ込めるわけにはいかない。

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