コード・ブルー（ Ⅲ ） 9→10［前編］ (ページ9)

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ｺﾝｺﾝ…

優輔「どうぞ。」

『優輔くん。』

優輔「倉科先生。来てくれたんだ」ﾆｺ

『うん。橘先生から移植のこと聞いたの。』

そう言うと優輔の顔が曇る。

優輔「先生も、お父さんやお母さん。井上先生みたいに移植を受けろって言いに来たの？」

『ううん。ちがうよ？

移植を受けるのは優輔くんでしょ？なのに、自分の気持ちも知らないで、とやかく言われるなんて、私からしたら嫌だからそんなことは言わないわ。

優輔くんのために移植される心臓だもの。
決めるのは優輔くんだよ？』

優輔「…！

先生、僕が移植を受けない理由わかるの？」

『んー、なんとなくだけどね。私も移植を受けたことがあるから。

優輔くんが疲れたって言ったって三井先生から聞いたときに、もし移植が今度来ても優輔くんは移植を断ることがあるかもしれないって思ってた。』

優輔「先生も誰かの心臓もらったの？」

『いいえ。私は心臓じゃないわ。骨髄移植って言って…健康な人から良い骨髄を提供してもらって、悪い骨髄を入れ替えるっていうものなの。』

優輔「骨髄ってなに？」

『赤血球・白血球・血小板の元になるやつのこと。血を作ったり、血を止めたり、細菌と戦ったりする細胞を移植したの。

でも、それって優輔くんの心臓と同じでなかなか適合する人がいないものなの。

だから、すごーーーく待った。適合する骨髄を。その骨髄を持つ人を。』

優輔「先生、そのとき疲れちゃった？」

『うん、すごーーく疲れたよ。だって誰かわかんない人の骨髄をもらって自分が生きるなんてなんだか重たいじゃない？

もし、私に骨髄の一部を渡したことでその人がいつか死んでしまったらとかって思うと怖かった。』

優輔「…」

『誰かの心臓をもらったから自分は生きてる。

そう思うと怖いよね。』

優輔「…！！」

『1つの理由はそれ。でも、もう1つあるよね？

移植を受けたくない理由。お父さんに関わる理由が』

優輔「・・！やっぱり、倉科先生はすごいね。。

わかった、話すよ。

僕ね、前に学校で"将来の夢"っていう作文書いたんだ。

お医者さんになりたいって書いた」

『うん。』

優輔「困ってる人がいたらグイグイ手術して、
みんな助けちゃうような。

そんな"お父さんみたいなお医者さんになりたい"

って。

僕、お父さんのこと大好きなんだ。」

『そっか。ありがとう、話してくれて。』

そういい、Aは優輔の病室を出た