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そのころ緋山は…
緋山「はぁ...」
緒方「...すいません、ちょっと」
緋山「？？」
緒方「これ、開けてくれない？病院の飯だけじゃ足んなくて」
緋山「どうぞ」
緋山は、緒方の手におにぎりを握らせた
緒方「サンキュー、一緒にどう？」
緋山「あっ、結構です。お腹空いてないんで」
すると、ギュルルルルと、緋山のお腹が鳴った。
緋山「(あっ…)」
緒方「体は正直だな」
緋山「こっちはご飯抜きで働いてるんです。
...いただきます」
緒方「だったら、なおさら食いな。
落ち込んでる時は腹いっぱいにするのが1番いいんだよ」
緋山「...」
緋山はもう一度緒方の手におにぎりを置いた
緒方「サンキュー
何かあった？暗い顔して」
緒方さんは右手でおにぎりを持ち左手で右手を持ち上げ、口におにぎりを運んだ
緋山「...今日私がやったこと
熱傷処置、切り傷の縫合、家族への説明、褥瘡の手当て。
つまんない処置ばっか...最後は緊急オペに入ったけど、患者は死んだ」
緒方「らしくないな〜、緋山先生みたいなタイプは自分の仕事に誇りを持ってんじゃないの？」
緋山「私本当はね、周産期医療っていうお産に関わる現場に居たのね。やりたい事いっぱいあったんだけどさぁ、尊敬してる先輩に頼まれて救命に戻ってきたの」
緒方「そうか」
緋山「後悔はしてない。私が戻ってきた事で、その先輩は今、家族との時間が持ててる。
でもさぁ...」
緒方「その何とかって現場に戻れなくなった？」
緋山「もう別の人が入っちゃって...私の居場所無くなっちゃった」
緒方「......何言ってんだよ、頼まれて来る場所があるだけいいじゃないかよ。
俺何か店首になっちゃったんだぞ。
1から作りあげた店、1番弟子に取られちゃってさぁ。
もうお先真っ暗だよ、いや、真っ暗どころじゃないよ。もう闇だよ、闇」
緋山「ふふっw闇...(笑)」
緒方「酷いな、そこ笑うとこじゃないだろw」
緋山「えっ？だって、全然明るいからw」
緒方「闇ん中で暗くなってたら、自分自身どこに居るか分かんなくなるだろ？
だから、闇ん中にいる時こそ気合いで明るくすんだよ。そしたら周りも見えてくる」
緋山「うんw何か論理めちゃくちゃだけど(笑)
緒方さんって本当ポジティブだね」
緒方「ふっwほら、笑ってる方が可愛い」
緋山「えっ？」
__医者は負けず嫌いだ。けれど、どんなに考え尽くしても患者に適した医療が見つからない時、それは医者の負け？__
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作者名：ﾌﾟﾘｨﾈ | 作成日時：2017年9月26日 20時
