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Aは病室を抜け出し、
翔北病院内一般病棟のロビーに来ていた。
この病棟ロビーには、1台の
立派なグランドピアノがあった。
雰囲気づくりとして、院長が置いたらしいが普段は誰も弾かないし、触らない。
あくまでオブジェのようにして置いてあるものなので患者はもちろん、医師や病院の関係者でも許可がないと触れてはならない。
しかし、Aだけは特別に許可されているのだ。
なぜなら、Aがピアノを弾くと患者たちが嬉しそうにその音色に聞き惚れる。
ピアノの音色が聞こえた途端に夜勤や当直のスタッフや動ける入院患者たちもぞろぞろと一般病棟ロビーを見下ろしたり、
ロビーに集まってきたりするのだ。
Aのピアノは
はたらくスタッフたちの心もとりこにしてしまうほど優しい音色を奏でるのだ。
Aの奏でる音はまるで彼女の心を表しているかのような音が響き渡るのが特徴なのだ。
そして、Aがピアノを弾くときは
何か心に伝えたいなにかがあるときや、言葉にできない思いがあるとき。
それを言葉の代わりに音色で表現するのだと、
新海は聞いたことがあった。
患者を救えなかった日、難しい手術が成功した日など若い頃はもっと頻繁に弾いていた。
この音色は藍沢たちの上司の橘や三井を始め、黒田も気に入っていたとかと言われている。
そのため、ピアノを弾く彼女を注意する者はどこにもいないのだ。
✎＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
新海は心当たりのある場所へ向かうとやはり、近くからピアノの音がした。
いつもとは違う曲だ。
でも。そこにいたのは愛しい妻だった。
Aがここ最近でピアノを弾いたのを聞いたのは1ヶ月ほど前のことだった。
彼女はピアノをひくとき楽譜を持たない。
そう、彼女は自分の感情を音にしてるため正しい曲があるわけではない。
音感を活かして、メロディをつくるのだ。
こういうときは、さっさとやめさせて病室に連れて帰るべきなんだろうが…
彼女はピアノを弾く際、
補聴器のボリュームを落とす。
余計な音を耳に入れずに自分の世界に熱中するからだそうだ。
少しして何曲かひくと満足したように
ほっと息をついた。
それを合図に新海はAのそばに歩み寄った
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草食獣(プロフ) - 続編すごく気になります (2017年12月12日 22時) (
レス) id: b1facee860 (このIDを非表示/違反報告)
Asagi(プロフ) - 続編楽しみにしています。 (2017年12月12日 22時) (レス) id: 3aa4eacbc3 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！すごく面白かったので続編楽しみにしてます！ (2017年12月12日 20時) (レス) id: 05c1c60bfc (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています！続編とても見たいです！！！ (2017年12月12日 20時) (レス) id: 93605edd34 (このIDを非表示/違反報告)
machida(プロフ) - 続編読みたいです！ (2017年12月12日 20時) (レス) id: def14193a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾌﾟﾘｨﾈ | 作成日時：2017年10月22日 0時
