c h o c o l a t e ? ページ40
報告をしたのは2日後、婚姻届を提出した翌日だった。かずさんの時と同じように皆を集めて、普段なら朝礼のある時間。
「ご、ご報告…です」
今までに経験したことのない緊張感に胸が締め付けられる。オペより緊張し、思わず生唾を飲み込んだ。隣で耕作が口を開こうとした時、息を荒らげた橘先生が到着した。
「俺抜きはやめろよ?」何て笑いかけて、つられて頬が緩んだ。改めて、と耕作が口を開く。
藍沢「昨日入籍しました。院内では引き続き苗字はそのままでお願いします」
頭を下げる姿が横目に入り慌てて私も腰をおる。おめでとう、とはるちゃんの声を筆頭に拍手がその場に広がった。ゆっくり顔をあげればめぐちゃんとみほちゃんが大号泣。それに何となく橘先生が引いていた。かずさんはというと、
「父さんは許しません゛ん゛」
やっぱ泣いてた。お主は父親か、そうか、バージンロード歩いてやるわ。この光景にフェローたちは何とも言えぬ顔でいるしナースはその場で固まってた。ふと我に返ったのはある声がした時だった。
新海「Aせんせっ」
ふわふわの髪を揺らし受付辺りに肘を置く新海先生。彼の手には何故か花束が握られていて
「って、投げますか普通」
ブォン、と届いた。色とりどりの花々が目に映る。
新海「いつでもおいでね。救命飽きたら、あ、藍沢︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎に飽きたりとかね」
少年みたいに笑う先生に行きません、と気分の高まった満面の笑みで返した。
藍沢「戻るか」
「そうね」
いつも通り橘先生が指示を出して解散する私たち。苗字が変わろうが私の仕事に変わりはない。人を救い続ける、何処までも命の灯火が消えるまで。私はぎゅ、とスクラブの上から指輪の通ったネックレスに触れると、手元のチョコレートを一欠片口に入れて彼の背中を追いかけた。
藍沢「急患だ、後10分で着くそうだ」
「分かった、オペ室確保しとく」
──誰も知らない。いや、知る由もないのだ。この日常に、この仲間が、儚くとも崩れ去って行くことに。
ある清々しく晴れた日のことだった。救命に鳴り響いた音に白石が返答する。彼女の顔が険しくなるにつれ、初療室の空気が重くなる。
千原消防からのドクターヘリ要請。千葉新都市地下鉄開通前の線路内にて崩落事故発生。負傷者多数。
「子供もって今日イベントか何かあったのか?」
彼女に近づくと変よね、と白石は問いかけた。詳しい状況の把握がまだらしく満足のいく返答はなかった。───選択肢は1つだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1707人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイ(プロフ) - 再開待ってます。 (2019年11月25日 23時) (
レス) id: ffae72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になってますが終わりですか？ (2019年9月2日 20時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます！もう更新されないのでしょうか？ (2018年10月16日 11時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち - いつも見てます！このお話が大好きです！更新がんばってください！ (2018年7月6日 19時) (レス) id: 79846cf961 (このIDを非表示/違反報告)
Nana(プロフ) - Rayさん» Rayさんいろんな人に細かくしてますが、手当たり次第いろんな人に誰彼構わずリクエストしてるようです。迷惑だと思いますよ。 (2017年11月1日 5時) (レス) id: 3273862ca4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
