光6

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「あった！」



初療室で灰谷先生の声が聞こえた。



2回目で切開したところから鼠径動脈を見つけたようだ。



「大腿動脈触れています。指示下さい」



「鼠径靭帯から3cmくらい、神経を巻き込まないように結んで。

止血できるギリギリのテンションで」



「はい。ネラトンカテーテル下さい」



モニター越しに処置の様子を見守る。



コッヘルでカテーテルを結紮したところを見て声を出す。



「どう？」



「出血、止まったみたいです！」



横峯先生の一言にほっと息をつく。



「はぁ…、良かった。

壊死が進まないように足全体を冷やして。

それで2、3時間は持たせられる。

足を切らずに済むわ」



「はい」



横峯先生の返事を聞き、パソコンの前から

離れようとした時だった。



「A先生！」



灰谷先生の大きな声が聞こえてもう一度パソコンの前に立つ。



「どうしたの？」



「A先生、心停止してます！」



一番恐れていたことが起きた。



重度の低体温症だ。

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