光4

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「助かった」


「いや。お前の腕が落ちてないことを見て安心したよ。

A先生と冴島さんのコンビネーションも

見ることができたし」


『…、どうも』



ダメだ。


やっぱりこの人苦手。


私はそそくさと手を洗ってからICUへ向かった。



『おーい、2人とも。

ゲームばかりしていないで少しは私ともお話してよ』


「A先生もすればいいじゃん、ゲーム」


「ダメだよ。A先生弱いもん」



暁人くんの言葉に優輔くんが返事する。



『だって私、君たちの年だった頃ゲームしてなかったもん』


「ずっと勉強してたの？」


『…、入院してたんだよ』


「え、あれ、5歳の時って言ってなかった？」


『10歳の時再発したの。

また1年くらい病院生活』


「そうなんだ…」



私の言葉に暁人くんも優輔くんも黙り込む。



『そんなハイカラなものなかったよ、私の時代には』


「ハイカラ？優輔知ってる？」


「知らない。ハイカラって何？」


『…、ジェネレーションギャップ…』


「そういえば、今日印旛川の花火大会だって？」


「うん」


「俺らには関係ないか」



努めて明るく言っているが寂しそうな表情を浮かべる暁人くん。



『…、ベッドの位置変えれば見れるんじゃないかな。

2人ともいつも頑張ってるから』


「A先生、ありがとう！」


「やったな、優輔！」



その後も嬉しそうに私と優輔くんと話していた

暁人くんの様子が変わったのは30分程経過した頃だった。




「苦しい…」


『暁人くん？暁人くん！まずい、VFだ…。

DC持ってきて！』



必死に心臓マッサージを行いDCをかける。


そしてまた心臓マッサージを行う。



「状況は？」



そこに橘先生がやってきた。



『DCしました。胸痛を訴えた後VFに』


「パルスチェックです」



心臓マッサージをしていた手を止めモニターを見る。


すると規則的なリズムを刻み始めた。



「挿管の準備して」


『戻った…』


「16時42分、心拍再開です」


『緋山先生、挿管して。エコーと心電図下さい』


「心筋全体の動きが弱いな」


『ECMOいれますか？』


「あぁ、そうしよう。オペ室移すぞ！」


『バルパン用意します。

循内の井上先生にも連絡して下さい！』



暁人くんの隣では優輔くんが心配そうに見ていた。


助けてみせるから…。


声にはできなくても私は優輔くんに誓った。

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