光

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七夕の短冊。


子供の頃は素直に願いを書いた。


けれど、大人になると書かなくなる。


なぜだろう。


どんなに願ったところで

叶わないことがあると知ってしまったからだろうか



「三井先生が今週で辞める？」


初療室で藤川先生に先ほど、

橘先生から聞かされたことを伝える。



「私もさっき聞いたの。

灰谷くん、REBOA用意してくれる？」


「は、はい！」



未だに物品の位置を覚えられない灰谷先生。



「あ、そこで携帯いじってる君。

次からこのメモ書いてね」


「あー、それですね。分かりました」



いつも飄々としていて

何を考えているのか分からない名取先生。



「レベルワン用意してあります。

開胸セットは来てからでいいですか？藤川先生」


「ありがとう」



冴島さんより気が強いんじゃないかと

思ってしまうほどの圧があるナースの雪村さん。



「すいませーん。もう戻るんですか？

やっぱヘリってはやーい」


「早いよ。だから君も早く来て準備しようね」


「はい！」



返事はいいけどイマドキ女子の横峯先生。


三井先生が抜けてしまうなんて

本当に大丈夫なのかな、と思っているところに

藤川先生がやってきて私の腕を引っ張る。




「お前が一番よく分かってんだろ。

今のこのヤバい状況」


「…、分かってる」



そう。痛いくらいに分かる。


救命は今、窮地に立たされている。


はっきり言って大ピンチだ。

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