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「んー」


スタッフステーションでカルテ整理をしていた凛は
大きく伸びをした。

そんな凛の後ろを森本が通る。


「お疲れ、桐原」

「あ、森本先生、お疲れ様です」

「ほら」

「あ、ありがとうございますー」


森本はコップに入った珈琲を凛に渡した。

それを受け取り、凛は微笑む。


「あいつらいないと静かだなあ」

「本当に」


笑いながらスタッフステーションを見回す。

そこには藍沢たちフェローと、
フライトナースの冴島の姿はない。

高速道路での多重衝突事故の際、
レスキューからの避難指示を無視して
治療を続けていた彼らは、
安全調査委員会の決定により
1週間の謹慎処分となった。

この日は、彼らの謹慎開始から4日目だった。


「でも、5人いないときついですね」


凛は一向に減る様子のないカルテを見る。

フェロー4人と冴島、
そして黒田がいない救命は、
毎日を慌ただしく過ごしていた。

この日までの3日間、
凛は病院に泊まり続けていた。


「本来なら処分の時期をずらしたいけど、
あいつら面白い症例が、とかでモメそうだしなあ」

「だから皆一緒に謹慎なんですね」

「お陰で大変だよ。くそ、フェローめ」


凛の向かいに座り、森本が悪態をつく。

その様子に凛は笑った。


「今日で4日目。折り返し地点ですね。
頑張りましょう」


にこりと笑う凛に、森本は頷く。


「あ、でも桐原、
今日は時間になったら上がっていいから」

「え?」

「3日も病院に泊まってるだろ?
今日は落ち着いてるし、帰っていいよ」


この日は朝からホットラインもなく、
手術の予定や、患者の急変もなかった。

森本の言う通り、帰るには最適な日だ。

凛は困りながら、頷く。


「お言葉に甘えます」


ぺこりと頭を下げると、森本が笑った。









「あ、耕作?」


着替えるために更衣室へ向かいながら、
凛は藍沢へと電話をかけた。

藍沢が謹慎になる前に、
凛は彼に自分のことを話すと約束していた。

その約束を果たすために、連絡をしたのだ。


「今日は帰れそうなんだ。会える?」

『……大丈夫か?
3日も病院にいたならちゃんと帰った方がいいだろ』

「大丈夫だよ。
明日も午後からでいいって言ってもらえたし」

『そうか、分かった』


藍沢と落ち会う場所の確認をし、
凛は電話を切る。


「………よし」


全部話す。

そう決意し、ぎゅっと拳を作った。




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ri_n(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメントありがとうございます。失礼致しました!訂正しましたm(_ _)m (2017年10月13日 2時) (レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 設定の[それが凛の生きる意志。]から名前固定されています! (2017年10月11日 23時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ri_n | 作成日時:2017年10月11日 17時

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