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「事故の後、お葬式とか、
そういうのはみんな、西条先生がやってくれた」


両手の中にあるマグカップを見つめ、
静かに凛は言う。


「全部終わって、退院もして、アメリカに戻った。

そしたら、私、独りになったんだって怖くて、
私さえ病気にならなければって思って、
そういうことから全部逃げたくて、
アメリカ戻ってしばらくは休み無しで働いてた。

お父さんとお母さんと暮らしてた家に帰ると、
どうしようもなく怖くなって、
とても一人ではいられなかったから、
ずっと病院にいた」


時折帰る家は冷たく、暗く、
ぽっかりと空いた穴のように凛を飲み込んだ。

暗闇に包まれる感覚は、
今でも酷く恐ろしいものだった。


「そんな風に過ごしてたら、ある日、
西条先生が来てくれて」


何の連絡も無しに、
凛が勤める病院へと、西条は来た。

その日のことを思い出し、凛は笑う。


両親を自分のせいで亡くし、
治療法もない病気を抱え、
たった独りで生きていくなど、
自分にはできない。

このままここで、死んでいくのだ。

そう凛は思って過ごしていた。

そこに西条は突如現れた。


「日本に来ないかって言ってくれた」


病院も、自分の所に来れるようにしてやる。

向こうでの生活も、できる限り手を貸してやる。

凛の肩を掴み、真っ直ぐ目を見て、西条は言った。


「だから諦めるなって。
生きることを、諦めないでくれ、って」


家族はいないかもしれない。

病気は治らないかもしれない。

それでも、精一杯生きてくれ。

そう訴える西条はどこか悲しそうだったのを、
凛は今でも覚えている。


「すぐにはその言葉に頷けなかった。

幼い頃アメリカに行った私の生活拠点は向こうで、
病院も、患者さんも、
私を必要としてくれる人達が、いたから」


でも、とマグカップを握る手に力を込める。


「ふと、思い出したの、耕作のこと」


突然名前が出てきた藍沢は、凛の横顔を見つめる。


「思い出したって言っても、
名前も顔も覚えてなかった。

ただ、たった1人の家族がいるかもって、
幼いあの日に会った男の子がいるかもって思った」


この暗く、恐ろしい孤独から、
救ってくれる存在になるかもしれない。

縋るような思いだったのを、凛は思い出す。


「家に帰って、遺品を整理しながら、
耕作に繋がるものを探した」



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ri_n(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメントありがとうございます。失礼致しました!訂正しましたm(_ _)m (2017年10月13日 2時) (レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 設定の[それが凛の生きる意志。]から名前固定されています! (2017年10月11日 23時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ri_n | 作成日時:2017年10月11日 17時

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