Last time . 06 ページ22
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藍沢は静かな屋上で腰を下ろし、空を見上げる。
手元では白い封筒が風にはためいていた。
「藍沢」
呼びかけられ、藍沢は視線を下ろす。
そこには緋山が立っていた。
「……戻ってきたのか」
緋山は藍沢の隣まで来ると、その場にしゃがみ込む。
「色々とごめん。ありがとね」
「……俺は何もできなかった」
「そんなことない。
藍沢と藤川が傍にいてくれたから、
あの子は最期の時を独りで迎えないで済んだ」
ふわりと緋山の髪が風に揺れ、
藍沢は凛の揺れる髪を思い出す。
「見たでしょ、あの子の顔。
苦しくて、痛かったはずなのに、穏やかな顔してた」
あの日、凛の異変に藤川が気付き、
藍沢は彼に揺り起こされた。
その時には既に凛の心臓は止まっていた。
すぐに救急車を呼び、
心臓マッサージをしながら藍沢は緋山に連絡をし、
翔北救命センターへと向かった。
しかし、凛の心臓が再び動き出すことはなかった。
彼女は、末期の癌だった。
「なんでここ来たのかなぁ…」
緋山はそう呟き、空を仰いだ。
藍沢は手元の封筒に視線を落とす。
「……お前に、会いに来たんだ」
「え？」
驚く緋山の瞳を、藍沢は見つめる。
「凛からだ。俺の部屋にあった」
封筒を差し出すと、緋山はそれを受け取る。
それは、藍沢の部屋に置いてあった、
凛からの遺言書だった。
そこには最期の時を、
最愛の姉の近くで迎えたかったこと、
何一つ伝えずにいた家族への謝罪、
そして、自分の遺作として、
翔北救命センターの原稿を出版社に送って欲しい、
という願いが書かれていた。
「……凛……っ……」
ぽろぽろと緋山の瞳から零れる涙に、
藍沢は目を細める。
まともに動くこともままならないような身体を、
無理矢理動かしてまで、ここへ来た。
姉の誇りである職場を、
“ライター緋山凛”として世間に伝える為に。
そして何より、愛する姉に最期、会いたくて。
笑顔でカメラを向ける凛の姿を思い返し、
藍沢は小さく笑った。
「お前に似て、意地っ張りで強情なやつだった」
「え、なに、喧嘩売ってんの？」
ぐす、と緋山が鼻をすすると、
藍沢は穏やかな表情を緋山へと向ける。
「でも、芯のある、強い女だった」
「……藍沢……」
「お前とそっくりだな」
藍沢が笑い、緋山も笑みを浮かべた。
Fin.
▷まとまりがなくなってしまいましたorz
.
終わり
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ri_n(プロフ) - ユーラさん» コメントありがとうございます(*^^*)リクエスト嬉しいです！検討します*(^o^)/* (2017年11月1日 12時) (
レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ユーラ - Secret loveがと手の好みです！ もしよかったらくっつくまでの続編が見たいです！ (2017年10月31日 12時) (レス) id: 86e1c6423c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ri_n | 作成日時：2017年9月25日 20時
