恋焦がれ。�� 03 - 名取 ページ15
.
名取を呼び止め、メモ用紙を渡す。
「これも凛に渡しておいてくれ」
「………分かりました」
眉を寄せたまま、名取は頷いた。
離れて行く彼の背中を見送りながら、
藍沢は、ふ、と小さく笑う。
「これは完全に勘違いされてんな〜」
「！」
いつからいたのか、藤川が藍沢の隣に立っており、
藍沢はビクリ、と肩を震わせた。
「まあ無理もないでしょ。
仲良すぎなのよ、藍沢と櫻井」
白石の隣にも、いつの間にか緋山が座っている。
「でも、名取先生が櫻井先生のこと、
そんな風に思ってたなんて……」
「はあ？白石ってホントそういうの疎いね。
あんなの見てれば分かるでしょ！」
「え？」
そんな白石と緋山の会話を聞いていた藤川が、
にやにやと笑いながら藍沢に小声で話しかける。
「藍沢も気づいてなかったんだろ」
「………ああ」
「名取の奴、ずーっと藍沢のこと敵対視してたぞ」
「…………」
緋山と藤川の言葉に、白石と藍沢は首を傾げた。
「なんだこれ」
藍沢から手渡されたメモ用紙を見ながら、
名取は呟く。
"Get to sign the agreement"
(同意書にサイン貰った)
メモ用紙にはそう書かれていた。
「……オペのことかな」
メモ用紙を弄りながら廊下の角を曲がると、
何かにぶつかった。
「わっ」
「ひゃっ」
頭上から声がして、名取は視線を上げる。
どくん、と心臓が跳ねた。
「凛先生、」
「あ、名取くん。ごめんね、大丈夫？」
「俺こそ、すみません」
大丈夫だよ、と柔和に微笑む彼女に、
バインダーを差し出す。
「これ……」
「あ、直した？ありがとう」
「あと、藍沢先生から、」
「ん？」
渡された書類に目を通す凛へ、
藍沢からのメモ用紙を渡す。
それを見た凛は目を丸くして、名取の顔を見た。
「………本当かよ、耕作……」
不審がる名取の視線から逃れるように、
凛はバインダーで顔を隠しながら小さく呟く。
やがて、ふう、と息を吐き出し、名取を見る。
「あの、さ、名取くん。明日、日勤だよね」
「はい」
「その、良かったらさ、食事、一緒にどうかな」
「え？え？」
少し恥ずかしげに、凛は言う。
その言葉に、名取は耳を疑った。
「……ごめん、急に困るよね」
「そんなことないです！あの、ぜひ！」
視線を落とした凛に、名取は慌てて返事をする。
.
恋焦がれ。�� 04 - 名取→←恋焦がれ。�� 02 - 名取
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ri_n(プロフ) - ユーラさん» コメントありがとうございます(*^^*)リクエスト嬉しいです！検討します*(^o^)/* (2017年11月1日 12時) (
レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ユーラ - Secret loveがと手の好みです！ もしよかったらくっつくまでの続編が見たいです！ (2017年10月31日 12時) (レス) id: 86e1c6423c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ri_n | 作成日時：2017年9月25日 20時
