恋焦がれ。�� 02 - 名取 ページ14
.
「…………悪かったな」
「ん？」
藍沢が凛を呼んだのは、
先日手術を終えた患者の
術後経過が引っかかったからだった。
診察を終え、病室を後にした２人は、
スタッフステーションへと向かっていた。
「名取といたのに、邪魔した」
藍沢の言葉に、凛は笑う。
「耕作もそういうこと気にするようになったんだ」
「………」
「いいのいいの。
別に好きとかじゃなくて、
ただ、可愛いなって思ってるだけ。
どうこうなりたいわけでもないしね」
「……そうか」
藍沢は、名取達がフェローとして
この病院に来た頃を思い出す。
──耕作聞いて！
救命のフェローに可愛い子がいるの！
やや興奮気味に、脳外科の藍沢へ話す凛。
──仲良くなりたいなあ。
彼女がそう思っていた人物が
名取颯馬という青年だと知ったのは、
藍沢が救命に来てからだった。
凛がその気持ちを打ち明けているのは、
おそらく自分だけ、ということに気がついた。
ならば、何か協力をしてやりたい、
藍沢はそう感じていた。
「あ、聴診器置いてきちゃった」
凛はポケットを叩きながらそう言い、
くるりと踵を返した。
藍沢は１人でスタッフステーションへと入る。
「お疲れ様」
「ああ」
白石に声をかけられ、頷いた。
皆出払っているのか、
スタッフステーションには白石しかいなかった。
パソコンの前に立ち、ソフトを開く。
「──藍沢先生、お１人なんですか」
後ろから声がして振り返ると、
名取が藍沢を見上げていた。
凛先生は、と言う名取の手には、
先ほど凛から渡されたバインダーがあった。
「それは雪村に渡せと言われていなかったか？」
藍沢に言われ、名取は眉を寄せる。
「雪村も見当たらないので、
凛先生に渡そうかと思ったんです」
「そうか。凛なら病室だ。２−Ｃ」
「そうですか、ありがとうございます」
どことなく棘のある名取の声に、藍沢は首を傾げる。
「どうした？」
問いかけると、
名取は藍沢を睨みつけるように見上げた。
「俺、藍沢先生に負けませんから。
凛先生に認めて貰いたいんで」
そう言うと、くるりと藍沢に背を向け、
名取はスタッフステーションを出て行こうとした。
突然の宣戦布告にきょとん、としていた藍沢は、
ふと、我に返り、
手元にあったメモ用紙に文字を連ねる。
「待て、名取」
.
恋焦がれ。�� 03 - 名取→←恋焦がれ。�� 01 - 名取
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ri_n(プロフ) - ユーラさん» コメントありがとうございます(*^^*)リクエスト嬉しいです！検討します*(^o^)/* (2017年11月1日 12時) (
レス) id: a553a04bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ユーラ - Secret loveがと手の好みです！ もしよかったらくっつくまでの続編が見たいです！ (2017年10月31日 12時) (レス) id: 86e1c6423c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ri_n | 作成日時：2017年9月25日 20時
