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まさか、とオレの中で一つの考えが浮かぶ。
月城さんの言う『俺しか知りえない情報』というのは、
その情報に俺たちが驚くというのなら、それは――
月城さんがオレから目を離し、ジョディ先生の方へと体を向ける。
チラリと周囲に目を配ると店員の梓さんも他の卓で接客をしている最中であることを確認し、再度ジョディ先生と目を合わせた。
見慣れない、気味の悪い笑みを貼り付けた月城さんは、ゆっくりとその口を開く。
「杯戸中央病院。ここに
誤算だった。
身近な場所に、こんなにも恐ろしい人物がいるなど、考えてもみなかった。
灰原が月城さんと会った日に言っていた『彼には気を付けた方が良い』という言葉の本当の意味を見抜けていなかった。
「民間の病院ということは、おおかた追っている最中、事故にでも遭ってしまったんでしょうね?よく異国の地で匿ってくれるような医者がいましたね」
なぜそれを知っている?どうやって手に入れた?と、オレの頭の中に疑問の言葉が次々と浮かぶ。
しかしそれ以上に、オレは月城さんに感服してしまっていた。
ちらりと隣を見ると、ジョディ先生は目を見開いており、どうやら現状を受け止め切れていないようだった。
それもそのはずで、つい先程やっと組織を追う全てのFBI捜査官との情報共有が終わったばかりだというのだから、驚きを隠せないのも仕方がない。
実際、オレもここまで早く情報が漏れるとは思ってもみなかった。
月城さんがどうやってこの情報を手に入れたのか簡単に想像がつかない。
「あなた、どうして……!」
動揺が隠しきれていないまま、ジョディ先生は月城さんに問う。
オレたちの狼狽を目に、月城さんは机の上に置かれた袋を手に取った。
「午前中にお二人、いらっしゃいましたよね?コレを仕掛けるために。お返しに少々細工をさせて頂きました」
心当たりがあるのか、ジョディ先生がハッとする。
確か、出ていくオレ達とすれ違いに借りた病室に入ってきたFBI捜査官が二人いた。
きっとその捜査官達に月城さんは発信器でも仕掛けていたのだろう。
「根城でも見つけられたらな、……と思っていましたが、まさかでしたよ。千載一遇、せっかくのチャンスで大事な時だというのに、自身のことに時間を割くような人物が
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izawa(プロフ) - 東雲虚さん» ありがとうございます! (7月24日 21時) (レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
東雲虚 - とても面白い作品でした 更新楽しみに待ってます! (7月10日 14時) (レス) @page41 id: 272de617c9 (このIDを非表示/違反報告)
izawa(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!修正しました! (2022年10月5日 19時) (レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 51話、ブロンズヘアーじゃなくて、ブロンドヘアーです。 (2022年10月5日 6時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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