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そう言うと、チラリと時計を確認したと思えば、女は急いで荷物をまとめ始めた。
男は女に尋ねる。
「この後、どこかご用事でも?」
「ええ」
席を立ちつつサングラス越しにウィンクをする女。
その様子から察するに、何か女にとって楽しいものであるのだろう。
「そうですか、ではまた」
「また会いましょう」
足早に店を出た女を見届け、男は一人残されたテーブルでため息をついた。
そして、先程密かに飲み込んだ言葉を頭に浮かべる。
――あなたを差し出してしまったら、この手で復讐が果たせなくなってしまいますから……
ふと、店のメニュー表が目に入った。
男と女は結局、アイスコーヒーしか注文していない。
どうせ経費で落ちるだろうと、男はそのメニューを眺め、店員を呼びつけた。
そして一言。
「この、自家製ティラミスをお願いできますか?」
この時、彼の接客をした店員は不思議に思えただろうか。
――なぜこの男はイヤホンをつけたまま話すのだろうか、と。
To be continued……
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izawa(プロフ) - 東雲虚さん» ありがとうございます! (7月24日 21時) (レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
東雲虚 - とても面白い作品でした 更新楽しみに待ってます! (7月10日 14時) (レス) @page41 id: 272de617c9 (このIDを非表示/違反報告)
izawa(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!修正しました! (2022年10月5日 19時) (レス) id: f153ef9291 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 51話、ブロンズヘアーじゃなくて、ブロンドヘアーです。 (2022年10月5日 6時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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