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39. ページ39
「当たり前じゃない。だって……月城君はもう、私達と友達なんだから」
蘭さんの優しく抱擁するような声が、俺の耳に届く。
その言葉に、視界が一気に開けたような気がした。
俺は思わずハッと顔を上げる。
俺の目に映った蘭さんの顔は朗らかで、夕日に混ざり合ってとても綺麗だった。
胸の辺りがじんわりと温かい。
違うとはわかっていながらも、俺は月城として生きることを許されたみたいで、目頭が熱くなった。
俺は今、どんな顔をしているだろうか。
少なくとも、それは俺らしくない顔であることは明らかだった。
「友達……。そうでしたね」
いつもより心なしか硬い頬を無理くりに押し上げて笑みをつくる。
それが今、俺に出来る最高の笑顔だった。
「また、一緒に遊んでくれる?」
「――また誘って下さい。喜んでお付き合いします」
たとえ、これが俺の完璧を崩す綻びだったとしても。
たとえ、これが仮初の俺だったとしても。
Fin.
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