キコエナイ引きこもり少年【名探偵コナン】 (ページ37)

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「あ。月城君やってみる？」

「あ、いえ、俺は大丈夫です」

そもそもここから何をするのかがわからないのだが、両サイドに置かれたペンのようなものを持った二人が、その写真に何やら文字を書いている姿を俺はただ眺めるだけだった。

そしてそれが終わると、また違うブースへ向かい、先程撮った写真が出てくるという場所で待機する。
しばらくしてポスッと一枚の紙が出てきた。

「出来た！うん、なかなかいいわね」

「ほんと！結構盛れたね～」

二人は満足気にその写真らしきものを眺めている。

「みてみなさい月城！これがプリクラよ！」

園子さんが見せたのは、ただの写真……ではなかった。
それは顔の輪郭や目の大きさなど、全てが良いように強調され、一見別人のようにも感じる姿に変わっていた。
俺はメガネも外したためか、ただでさえ俺じゃないのにますます俺じゃないみたいで不思議な感覚に陥った。
周りが線で囲まれていたり、それぞれ名前が書かれているのは、きっと先程のペンのブースで書いたものだろう。
こんなものが存在するとは。プリクラ、実に興味深い機械である。

「わあ……すごい」

「あんた、結構イケてるじゃない」

「月城君、メガネやめてコンタクトにしたらもっとモテるかもね」

蘭さんに提案をされたものの、俺はメガネを外すことは出来ない。
なぜなら一応、これも変装の一つだからだ。
本来ならば、こうやって写真を撮ることも避けたいが、今回ばかりは良いだろう。
これは誰にあげたりするものではないだろうから。
それに、この写真はもはや別人だから心配は要らない。

「こんなんじゃ、プリクラで撮ればみんなかっこよくなるんじゃないですか？」

「あんた、元が良くないとこんなんにはならないわよ」

「そうなんですか？」

「ほんと、勿体ないわね月城」

その後、何枚かに切り分けたプリクラのうち二枚を記念に貰った俺は、それを眺めてやはり別人にしか見えないプリクラの俺に見入る。
いくら別人に見えたとしても、こんなもの外部に漏れたらたまったもんじゃないなと、丁重に鞄にしまった。

その後、用事があるとお迎えの来た園子さんと別れ、丁度蘭さんの住む毛利探偵事務所の近くに用事のあった俺は、蘭さんと一緒に二人、歩いて帰路についていた。