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「そうそう、私も毛利さんって呼ばれるの慣れないんだよね。蘭でいいよ」
「私も、園子でいいわよ。あんた、気に入ったし」
鈴木さんの言葉に、毛利さんも同じ様な反応をする。
名字で呼ぶのは俺なりの敬意の表れだったのだが、今時の人は名字で呼び合ったりはしないのか。
それとも“お友達”としては堅苦しすぎるのか。
もしくはそのどちらもか、俺は呼び方を変えることでもっと仲良くなれるのならばと下の名前で呼ばせて頂くことにする。
「……わかりました蘭さん、園子さんと呼ばせて頂きます」
「うむ、よろしい。よろしくね月城」
あれ、俺のことは名字呼びなのか……とここで思ったものの、俺的には名字で呼ばれた方がなんというかしっくりくるので別に良かった。
「じゃ、ケーキ取りに行こっか」
「俺は席で待ってるので、お二人先にケーキとってきちゃってください。荷物見ておきますね」
万が一盗まれたなんて言われたら嫌なので、一応ながらも俺は席に残ることにした。
まあ、ここは日本。そんな心配はいらないとも思いがちだが、鈴木財閥の話をまあまあなボリュームで話してしまった以上狙われやすくなってしまったのは事実だ。
「んじゃ、お言葉に甘えて。いこ、蘭」
「ごめんね、月城君」
「いえ、大丈夫です」
一人席に残って特にすることも無い俺は、席に置いてあったこの会場で出されているであろうケーキのメニューを眺める。
やはり一番目を惹かれるのはティラミスだ。
ケーキのみのバイキングを謳うだけあって、ティラミスもいくつかのフレーバーがあるみたいだ。
全て一応食べておきたいところである。
今更何をと思われるだろうが、正直に言うと、俺は甘いものが好きでは無い。
そのため選んでこようと思っているケーキはタルト系が多くなることを予想していたが、こんなにもティラミスがあるのなら問題はない。
「おまたせ〜」
そうこうしているうちに蘭さんと園子さんが戻ってきた。
その手には皿一杯に置かれたケーキの数々。
「ちょっと取りすぎちゃったかも」
「あはは……」
一瞬でテーブルの上がケーキまみれになってしまった。
かろうじて俺のスペースも残っているが、俺はそこまでケーキを持ってくる予定はないので大丈夫だろう。
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