検索窓
今日:22 hit、昨日:24 hit、合計:119,803 hit

33. ページ33

珍しい、とは何のことやらと、俺は素っ頓狂な声を出す。
鈴木さんは、いまいち何のことか分かっていない俺に、先程の言葉の説明をするように付け加えた。

「イケメンならだいたいこの話すると何かしら悪い笑み浮かべるんだけど……」

「そうなんですか?」

悪い笑み、要は悪巧みをする顔を見せるということだろうが、イケメンに限って金に目がくらむと、そういう事だろう。
まあ確かに、鈴木さんはそういった点で魅力的ではある。
目がくらんでも仕方が無いと言ってもいいだろう。

俺は興味を示さなかったが。

「……面白いじゃない。月城、だっけ?そういえばあんた年下には見えない顔してるわよね。彼女は?」

「えっ、いませんけど……」

怒濤の質問に俺は一瞬怯みつつも答える。

「じゃあ好きな人は?」

またもや唐突な質問に俺は内心「ええ……」と思いながらも言葉を濁す。

「好きな人……ですか」

初対面の質問じゃ無い気もするが、訊かれてしまった以上何かしらは答えなければならない。
何て返そうか考える時間も無く、鈴木さんは俺の心を読み取ったようにニヤリと話した。

「居るのね」

「え、そうなの月城君!」

ついには俺と鈴木さんの会話を彼女の隣で聞いていた毛利さんも、身を乗り出して会話に混じってきてしまった。
きっとこれはもう逃れられない所まで来てしまっているのではないだろうか。
弱みにならないように今、素直に話してしまうのが吉……か。

「えっと……はい。いるにはいます」

観念した俺は、彼女達の追求を受けることにした。
どうにかして関心を別のものへ移したいが、しばらくは無理だろう。

「へぇ?どんな人なのよ」

「俺なんかには勿体ないくらい素敵な人です……」

決して嘘はついていない。
俺の好きな人物――正確には俺が過去に好きだった人物なのだが、好きだったことには変わりないので許して欲しい。

「……気になるわね」

「鈴木さんも毛利さんも知らない人でしょうし、この先のこと聞いても何も面白くないと思いますよ」

へラっと俺はこれ以上は言えないという含みを込めて話す。
まあ、大体の場合こういうものは名前まで出すことになるのがオチな気もするが、言わないわけにはいかない。

「それもそうね。て言うかなーに?月城。私や蘭のこと名字で呼ぼうとしてるの?堅苦しいわね」

「えっ?」

俺は案外早く引き下がってくれた驚きと、俺の名字呼びが話題転換のキーになるとは思わなかった驚きを声に出した。

34.→←32.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (98 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
293人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:izawa | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年7月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。