キコエナイ引きこもり少年【名探偵コナン】 (ページ27)

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27.名探偵の観察記録ページ27

最近、おっちゃんの事務所の下にある喫茶ポアロに新人バイトが入った。
同じくポアロの従業員の梓さんが、オレたちにルンルンでその旨を伝えてきたのを覚えている。

ベルモットら黒ずくめの組織とFBIをも巻き込んで港の倉庫で対決してから早数日。
オレ達との対決に負けを認めたベルモットは、灰原を捕まえることを諦めたようだったが、いつ奴の口から組織に灰原やオレの情報が漏れるかわからない。

そんな中、オレの前に突如として現れた人物に、オレは警戒せざるを得なかった。

ベルモットが直接出向く事は無いと読んでいた為、その人物は組織の刺客である可能性が高い。ポアロに行く際には警戒しなければならない。

オレがその新人バイトと初めて会ったのは、おっちゃんがポアロから始まったとある事件を解決したその日の事だった。

その事件というものは、初めはポアロに忘れられた携帯電話を探すという単純なものだったのだが、それは一筋縄ではいかず、結局はいつもの通りオレが麻酔針でおっちゃんを眠らせて事件は解決した。
これが毎度お馴染みなのもどうかとは思うが、今更仕方がない。

その日は彼のアルバイト初日だったらしく、オレたちの前には自己紹介程度で、そう長居はしなかった。
途中でマスターに呼ばれ、キッチンで何やら作業をしていたようだ。

その新人バイトは月城と俺たちに名乗った。
容姿としては、日に当たったことも無いのではと思わせるような白い肌に、染めていると思われるダークブロンドの髪。その、男性にしては長い髪を下の方で結って、眼鏡をかけていた。
梓さんが「イケメン君なんですよ〜」と言っていたが、オレが見ても容姿端麗なのは明らかだった。

歳はオレの一つ下で高校一年生だそうだが、第一印象では大学生辺りかと思うほど、彼は大人びていた。
正直、梓さんからその事を聞くまではオレは彼のことをてっきり大学生かと誤解していた程だ。

そんな人を引きつけるような容姿を持つ彼だが、彼には一つ欠点とも言えるものがあった。
それは表情が乏しいこと。彼から発せられる言葉一つ一つはどこか堅苦しく感じられた。
後に梓さんから訊いた話だと、彼はあまり外に出ないインドアな人間で、いわゆる引きこもりだそうだ。
彼の纏うぎこちなさは、その性格ゆえだろう。