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「いえ、俺もコナン君とお友達になりたかったので。……コナン君、俺とお友達になってくれますか?」
「えっ?……うん!もちろんだよ!」
「……ありがとう」
若干の間があったものの、コナン君は俺とお友達になる事を許可してくれた。
自然と柔らかい声でその言葉が溢れ出る。
友達など、何年ぶりだろうか。
ずっと独りで過ごした数年間を踏まえると、それこそ小学校以来とかではないか。
孤独を知り尽くした俺にとっての友達はとても身に染みるものだった。
「それなら蘭ちゃんともお友達になっておくべきね!歳も近いし、学校じゃあんまり人と話せないんでしょ?高校生らしいこと、教えて貰ったら?」
「そうですか……?」
ここぞとばかりに、榎本さんが声を出した。
たった今、コナン君とお友達になったというのに、毛利さんにまでその輪を広げるなど、今の俺には思ってもみないことだった。
それには俺も強引だと、戸惑いの声を上げる。
だが、次にわっと声を上げたのは、俺でも榎本さんでもなく、コナン君だった。
「こ、高校生らしいって……月城さんもしかして」
恐る恐る、慎重に言葉を紡ぐコナン君。
目を丸くしたままのその顔に、俺は笑いが込み上げてきた。
俺が何も言わないからか、榎本さんが毎度恒例とばかりに説明をする。
俺とは他人のはずの榎本さんが、その事を我が物顔で自慢するようになったのはつい数日前だ。
「あら、月城君言ってなかったの?月城君は高校生1年生。蘭ちゃんの1つ下よ」
「「えええっ?!」」
店内にコナン君達以外に誰も居ないことをいいことに、それはそれはオーバーリアクションでどっと声を出した二人。
「私、てっきり大学生かそれより上かと……」
「ぼ、ボクも……」
この光景も、他のお客で何度見た事か。
あえて先に伝えないことで印象に残るから、と榎本さんに言われ、もはやこれはお決まりのルーティーンとなっていた。
「やっぱりか〜、流石は月城君。今のところ会う人みんな高校生とは思っていないみたいだね」
「もう、慣れちゃいましたけどね」
そんなこんなで俺のトークで和気あいあいとしていると、コーヒーが出来上がってしまった。
カップに注いでカウンターに差し出す。
「どうぞ」
「わぁ!ありがとうございます」
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