キコエナイ引きこもり少年【名探偵コナン】 (ページ17)

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これまでのコナン君の質問は、俺がバイトを始めた理由から始まり、バイト以外の時間は何をしているのか等、俺の生活に関することばかりだった。

その際、大学には行ってるのか？と聞かれたのでNoと答えると、意外そうに俺を見つめてきたこともあった。
これはもしかしなくても大学生に間違えられていたみたいだが、彼が俺の素性を探る姿が面白いので黙っておく事にした。

もちろんコナン君は俺の耳の事も聞いてきた。
彼から、「何故聞こえが悪くなったのか」「それはいつか」と事細かく聞かれた俺は、「事故で」「中一の時」と答えた。
その質問は、まさに事情聴取を受けるような話し方で、俺もかしこまったように答えたことを覚えている。

そこでふと、直観的に感じたものがあった。
初めは補聴器の事をイヤホンだと思っていたコナン君だが、本当は補聴器だとわかっていたのではないだろうか、ということだ。
それは俺の想像でしかないが、彼なら知っていてもおかしくないだろうと、俺は彼と話していて感じ取っていた。

ここからだろうか。
俺の直感が、彼をただの小学生ではないナニカだと警鐘を鳴らしはじめたのは。

だが、そんな彼から一度だけ、突拍子もない質問を受けた。
それは、「好きなお酒はあるか」というものだ。

何度も同じようなことを繰り返すが、まず、俺は未成年だ。
大学生ではないと答えたのはいいものの、成人はしているだろうという誤解をしていたのには、正直驚きよりも笑いの方が勝り、「え？」と答えた後にそれを堪えるので精一杯だった。
その上、コナン君はこの質問を神妙な顔でしてきたことも相まって、俺はしばらくコナン君と顔を合わせられなかった。

ちなみにどう答えたかだが、「今はまだ無いかな」と正直に言った。
好きなものなど、飲んでみないとわからない。
飲む前から決めつけるのはしたくなかった。

これでやっと年齢の誤解が解けるだろうと、そう思っていた俺だったが、今となってはそれは軽率な考えだったとしか言えない。
その誤解は解けるどころか、その返答はますますコナン君を悩ませるのもになってしまったのだ。
顔は険しく、顎に手を当ててうーんと考え込むその姿は、まるでかの有名なシャーロック・ホームズのようだった。