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お風呂から上がって部屋に戻ると颯馬くんが携帯を見つめていた。
いつものことだ。インスタでも見てるんだろう。
ドライヤーをつけるとこっちに寄ってきた。わんこみたいに。
でも別に何か話しかけるわけでもなく視線はスマホに向けられたまま。
食べていたアイスの棒を咥えて私の部屋着の袖を引っ張ってくる。
可愛いやつだ。
「あ、今日一人だから夜お酒飲もうと思って結構買っちゃったんだよね〜颯馬くんも飲む？」
髪の毛を乾かし終わってブラシで整えている時に思い出した。
おつまみも大量に買ってしまったんだ。
「じゃあ飲む」
「やったー、サワーとビールとチューハイ、どれがいい？」
「ビールがいい。今日疲れたから」
ビールとサワーを冷蔵庫から出して、ビールを渡した。
適当にチーズとあたりめも出して机に置く。
プシュッといい音を立てて空いた缶。
「カンパイ」
乾いた音を立ててカンパイをした後に、一口。
となりの人はビールをどんどん飲んでいく。
「うっ…まい」
染みるように言って缶を机に置いた。
ほっとした颯馬くんは、いつもより優しい笑顔を見せる。
「今日さ、脳出血の患者が来たんだ。脳出血のせいで頭蓋内圧亢進も見られて、すぐに手術しないと脳ヘルニアになりそうな患者だった」
「それでオペしたんだ…大変だったね」
うん、と頷いた後にどこか遠くを見つめる颯馬くん。
「出血は大変だったけどなんとか止めることができた。ただ、頭蓋内圧を元に戻すために、その患者さんの頭蓋骨の一部を切除しなくちゃいけなくなってさ」
そんなにひどかったのか…頭蓋骨の一部除去には色んな危険性をはらむ。容姿が変わったりするし、頭蓋骨のない部分に負荷がかかるとまた脳出血する可能性もある。
その上、何もしなくても脳出血する可能性もある。
「俺、一瞬だけど悩んだんだ。つーか、悩むことができた、なんて言ったら、今日の患者さんに失礼なのかもしんないけど。」
「でも、それは患者さんのために悩んだことなんでしょ？それなら、悪いことではないと思うけどな」
「俺は正直患者のことを『モノ』として捉えてる。多分それは変わらない。
それでも今日、俺は患者のために悩んでよかったって思った。」
そう呟く颯馬くんの背中を、そっと優しく撫でた。
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べーちゃん(プロフ) - この物語すごく好きです！！キャラクターもシチュエーションもとてもリアルです！あの二人がメインなのに、他の人もみんなちゃんと出てくるし、主人公とみんなとの関係もとても興味深いです。友達におすすめします！！(o^^o) (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - 来夢來都さん» 最初から読んで下さりありがとうございます！手術シーンは自分なりに調べてはいるんですが、かなり不安なのでそう言ってくださると嬉しいです(T_T)ツンデレ名取先生これからもたくさん出していきますね！頑張ります！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
来夢來都 - 最初読んでからずっと好きです!!文系なのにあんなリアルな手術シーンが書けて羨ましいです…。名取先生のツンデレ？っぷりがすごい好きです。更新頑張って下さい。 (2018年8月4日 12時) (レス) id: 6d1fb143e7 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - りりぃさん» わ！とっても嬉しいコメントありがとうございます！(^o^)頑張ります！ (2018年7月27日 10時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ものすごく“きゅん”が詰まってて大好きです！更新頑張ってください！ (2018年7月26日 6時) (レス) id: b0335d08b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹田 | 作成日時：2018年7月19日 21時
