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コツンと私の頭に置かれたスマホはすぐに離れて、颯馬くんは何も無かったかのようにパソコンを立ちあげる。
灰谷先生が察したように立ち上がり、「HCU見てきます」と医局から出ていってしまった。
私も今日の出動記録を書き始める。
「今日ね、灰谷先生が私みたいなフライトドクターになりたいですって言ってくれたの。灰谷先生の方がずっと先輩なのに」
呟くように言うと、颯馬くんは一瞬手を止めたけど、またパソコンに向き合う。
それでも聞いてくれていることはわかったから、話を続けた。
「さっきだってあんなに取り乱しちゃって、颯馬くんがいなかったら何にもできなかったのにね」
颯馬くんがあの時駆けつけていなかったら、私は奥さんに何を言ってあげたんだろうか。
奥さんにかけたい言葉はたくさんあったけれど、どれも嘘みたいな言葉で、私には旦那さんが亡くなったことを伝えられなかった。
「凹んでも、そうやって励ましてくれる人達ばっかでさあ。
なんか、泣けてきちゃって。それでさっき泣いちゃった。」
誤魔化すように笑ったが、颯馬くんの表情は固い。
まあ、そうだよねえ。面倒くさい奴だなあとか、泣き虫とか思われてんのかなあ。
特に返答もなかったので、黙って出動記録を書く。
ペンが走る音と、パソコンのキーボードの音だけが医局に響いた。
あーあ、私やっちゃったかなあ。
もっと強くいたかった。意志を持って、貫けるような。…ちょうど緋山先生みたいな人に。
そう言えば颯馬くんって緋山先生のことすごく尊敬してるし、私のこと情けない女だとか思ってんのかな。
なんて1人で考えていると、
キーボードの音が止まった。立ち上がった颯馬くんは何かファイルを探してる。
「なあ、昨日の佐藤さんの検査結果どこにあるっけ」
と言われて私も立ち上がった。
佐藤さん？確かパソコンの方にあったと思ったけど…
颯馬くんの方へ向かうと、
「そう言われるぐらいよく頑張ってんじゃん、お前は」
呟かれた声。聞き間違えじゃなければ、そう言った、はず。
え、と顔を上げれば、「あ、これか」と検査結果を見始めていた。
今、颯馬くん、励まそうとしてくれた？颯馬くんが？
「桜田、悪いけどこれ手伝ってくんない？…ってお前、ニヤケすぎ」
「…いいですよ、手伝います。その代わり今日は名取先生がご飯作ってくださいね」
「はぁ？…ったく、早く終わらせよ」
「はーい」
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べーちゃん(プロフ) - この物語すごく好きです！！キャラクターもシチュエーションもとてもリアルです！あの二人がメインなのに、他の人もみんなちゃんと出てくるし、主人公とみんなとの関係もとても興味深いです。友達におすすめします！！(o^^o) (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - 来夢來都さん» 最初から読んで下さりありがとうございます！手術シーンは自分なりに調べてはいるんですが、かなり不安なのでそう言ってくださると嬉しいです(T_T)ツンデレ名取先生これからもたくさん出していきますね！頑張ります！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
来夢來都 - 最初読んでからずっと好きです!!文系なのにあんなリアルな手術シーンが書けて羨ましいです…。名取先生のツンデレ？っぷりがすごい好きです。更新頑張って下さい。 (2018年8月4日 12時) (レス) id: 6d1fb143e7 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - りりぃさん» わ！とっても嬉しいコメントありがとうございます！(^o^)頑張ります！ (2018年7月27日 10時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ものすごく“きゅん”が詰まってて大好きです！更新頑張ってください！ (2018年7月26日 6時) (レス) id: b0335d08b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹田 | 作成日時：2018年7月19日 21時
