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その時、白石先生から連絡が入った。
『自動車事故の患者さんを先にヘリで運びたいんだけど、さっき話してた奥さんの状況はどう？』
名取先生が少し目を泳がせた後に、「大丈夫です。こっちは救急車で向かいます」と伝えた。
奥さんに強い力で握られて、口を開こうとする。
「奥様がご主人を守ったことで、ご主人は33分長く生きることができました。
土まみれで二人とも怪我だらけで、誰にも気付かれない状況にならずに済んだのは、奥様の怪我があったからです。
だから、その怪我を治させてください」
先に言われた名取先生の言葉に、一瞬だけ触れた彼の腕。
離された奥さんの手のひらに、やるせない気持ちが広がる。
でもそんな無駄なことを考えるほど自分は器用じゃないことは痛いほど知ってる。
「少し苦しいと思いますが、管通しますね」
「腹腔内に出血は見られない。肺挫傷は？」
「触診だと肋骨の骨折は一箇所しか見られないです。急いで病院に運びましょう」
名取先生が頷いた。
「移します、1、2、3！」
ストレッチャーで奥さんを別の救急車に運び込み、私たちも乗り込む。
奥さんの顔を見つめながら、「ごめんなさい」と呟いた。
そっと右手に乗せられた手のひら。
でも、颯馬くんの目線は奥さんの方で、多分他の誰も気づいてないような、さりげない優しさで。
「もうすぐ病院に着きますからね。痛いし苦しいですけど頑張ってください」
と伝えた。
病院に着いて奥さんのCTを撮ったが、やはり折れていたのは一箇所だけだったようだ。
藤川先生と治療し終え、医局に戻ると、颯馬くんと灰谷先生がいた。
「お疲れ様です」
と言うと、灰谷先生だけが答える。
颯馬くんは携帯をずっと見つめていた。
「あ、さっき今日の話聞きました。大変でしたね」
「…そんなに大したミッションでは無かったんですけどね」
私が頭を抱えてると、何かが頭に乗った。
固くて、四角い何か。
…いや、普通に颯馬くんの携帯じゃん。
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べーちゃん(プロフ) - この物語すごく好きです！！キャラクターもシチュエーションもとてもリアルです！あの二人がメインなのに、他の人もみんなちゃんと出てくるし、主人公とみんなとの関係もとても興味深いです。友達におすすめします！！(o^^o) (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - 来夢來都さん» 最初から読んで下さりありがとうございます！手術シーンは自分なりに調べてはいるんですが、かなり不安なのでそう言ってくださると嬉しいです(T_T)ツンデレ名取先生これからもたくさん出していきますね！頑張ります！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
来夢來都 - 最初読んでからずっと好きです!!文系なのにあんなリアルな手術シーンが書けて羨ましいです…。名取先生のツンデレ？っぷりがすごい好きです。更新頑張って下さい。 (2018年8月4日 12時) (レス) id: 6d1fb143e7 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - りりぃさん» わ！とっても嬉しいコメントありがとうございます！(^o^)頑張ります！ (2018年7月27日 10時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ものすごく“きゅん”が詰まってて大好きです！更新頑張ってください！ (2018年7月26日 6時) (レス) id: b0335d08b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹田 | 作成日時：2018年7月19日 21時
