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奥さんいたの！？颯馬くんが心臓マッサージをしながら舌打ちをした。
救急隊員が颯馬くんの方をちらりと見る。
ああもう、色々と。
「わかりました。救急隊員のみなさんは旦那さんの蘇生を名取先生とお願いします。
私は雪村さんと奥さんの方へ向かいます。案内お願いしてもいいですか」
雪村さんは私の方を見て頷いた。救急隊員も指示を聞いて動き出す。
颯馬くんが手を動かしながらこちらを見た。
「怪我、すんなよ」
「そっちはイライラすんなよ」
そう返すと、颯馬くんは少し不機嫌そうな顔をした後に、「行ってこい」と顎で外を指した。
頷いて救急車から飛び降りる。そのまま走って行った。
「奥様の気が動転していた様子だったので、一旦こちらに案内したんですが…」
山小屋に入ると、ソファーで寝かせられている女性がいた。あとは心配そうに見守る数人の登山客もいる。
女性に駆け寄り、呼吸の確認をする。
「翔北救命センターの桜田です、胸の音聞かせてくださいね」
女性の服は土だらけで、顔に擦り傷もあった。旦那さんの方は何でもなかったのに、どうして奥さんだけこんなにボロボロなんだろう。
「あの、どうして奥様の情報を教えてくれなかったんですか？」
「すみません…すぐに自力で来られるとおっしゃっていたので」
ため息をついても仕方がない。女性が顔をしかめた。
私は急いで女性の服をハサミで切る。
やっぱり。
「多分旦那さんが倒れた時に斜面から落ちそうになったのを受け止めた時に怪我したんですね、旦那さんを優先して欲しかったから言わなかったんでしょう」
彼女の体には大きな痣ができていた。肋骨も折れている。
「挿管します。名取先生、旦那さん先にヘリで送ってください」
「いや、いい。」
無線で送ったつもりが、直で聞こえて来た名取先生の声。顔を上げると、名取先生が奥さんの方へ駆け寄る。
「…正直心停止した時点で無理だってわかってたろ」
挿管を手伝いながらそう言った名取先生の口調は淡々としていた。
「わかってませんでした」
半ば意地でそう返すと、こちらも見ずに「へえ」と呟く名取先生。
「名取先生の顔を見るまでは、諦めてませんでした」
「…腹腔内にも出血あるかもしれない。俺はそっち確かめる」
その時、私の手のひらを奥さんが掴んだ。
目がうっすらと開く。
「先生……主人は…？」
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べーちゃん(プロフ) - この物語すごく好きです！！キャラクターもシチュエーションもとてもリアルです！あの二人がメインなのに、他の人もみんなちゃんと出てくるし、主人公とみんなとの関係もとても興味深いです。友達におすすめします！！(o^^o) (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - 来夢來都さん» 最初から読んで下さりありがとうございます！手術シーンは自分なりに調べてはいるんですが、かなり不安なのでそう言ってくださると嬉しいです(T_T)ツンデレ名取先生これからもたくさん出していきますね！頑張ります！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
来夢來都 - 最初読んでからずっと好きです!!文系なのにあんなリアルな手術シーンが書けて羨ましいです…。名取先生のツンデレ？っぷりがすごい好きです。更新頑張って下さい。 (2018年8月4日 12時) (レス) id: 6d1fb143e7 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - りりぃさん» わ！とっても嬉しいコメントありがとうございます！(^o^)頑張ります！ (2018年7月27日 10時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ものすごく“きゅん”が詰まってて大好きです！更新頑張ってください！ (2018年7月26日 6時) (レス) id: b0335d08b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吹田 | 作成日時：2018年7月19日 21時
