17 ページ18
ヘリポートに走って行くと、颯馬くんが立っていた。
私がきたのを見て、「藍沢先生と緋山先生が先に行った」と教えてくれる。
「そっか。伊予ヶ岳の方は被害者一人だけだって」
「わかった。さっさと助けるか」
そう言われて、口元が緩んだ。
「…何、その顔」
「いや？まだ情報もそんな来てないのに、自信満々だなあと思って」
颯馬くんはこっちを見ずに空を見ながら呟く。
「余裕だろ」
信頼された嬉しさと、安心。颯馬くんの表情を見て頷いた。
ヘリの姿が見えてきた。雪村さんも走ってくる。
急いでヘリに乗り込んで、ヘッドセットをつける。
消防からの情報を聞きながら準備を進めた。
『患者は42歳男性、心筋梗塞の疑いがあります。血圧は90、SpO2は90から低下中、ショック状態です』
「了解しました。」
颯馬くんが雪村さんに指示を出しながら、こちらを見る。
「お前、さっき泣いてたんだろ。どーせしょうもないことで」
あまりに突然のことで口をパクパクさせてしまった。
なにも言えないでいると、「後でちゃんと話せよ」なんて言ってまた何事もなかったかのように準備を始める。
この人は緊張感がないっていうか、よくわかんないっていうか…
そんなことを考えていると、山の上空あたりにやってきた。
現場を探すが、山奥なせいかわからない。
着陸場所が難しいかもしれない…
予想通り、少し遠い所に着陸したヘリ。
扉が開くと、素早くヘリから降りた。雪村さんがバランスを崩したので支えると、
「…ありがとうございます」
と多少鋭い眼光でこちらを見てくる。お礼言われてる気がしないなぁ…
「おい、早く行くぞ」
颯馬くんも颯馬くんで容赦ないし！
とは思いながらも言葉にはせず、颯馬くんの後を追う。
山の中の車道に止まっていた救急車に乗り込んだ。颯馬くんが声をかけてモニターを見つめる。
その間に聴診器で心臓の音を聴くと、心音が弱まっているような気がした。
「心タンポナーデです。心破裂してますね」
颯馬くんも心電図を見て気付いたようですぐに心臓に針を刺した。
「やっぱダメだ。開胸する。」
「わかりました。雪村さん、」
雪村さんの方を向いた瞬間に、救急モニタが音を出し始めた。
「心肺停止しました！」
「まじかよ、心臓マッサージします」
と、その時一人の救急隊員が走ってきた。
「先生！先ほどまで山小屋にいた奥様も倒れました！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
べーちゃん(プロフ) - この物語すごく好きです！！キャラクターもシチュエーションもとてもリアルです！あの二人がメインなのに、他の人もみんなちゃんと出てくるし、主人公とみんなとの関係もとても興味深いです。友達におすすめします！！(o^^o) (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - 来夢來都さん» 最初から読んで下さりありがとうございます！手術シーンは自分なりに調べてはいるんですが、かなり不安なのでそう言ってくださると嬉しいです(T_T)ツンデレ名取先生これからもたくさん出していきますね！頑張ります！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
来夢來都 - 最初読んでからずっと好きです!!文系なのにあんなリアルな手術シーンが書けて羨ましいです…。名取先生のツンデレ？っぷりがすごい好きです。更新頑張って下さい。 (2018年8月4日 12時) (レス) id: 6d1fb143e7 (このIDを非表示/違反報告)
吹田(プロフ) - りりぃさん» わ！とっても嬉しいコメントありがとうございます！(^o^)頑張ります！ (2018年7月27日 10時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ものすごく“きゅん”が詰まってて大好きです！更新頑張ってください！ (2018年7月26日 6時) (レス) id: b0335d08b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：吹田 | 作成日時：2018年7月19日 21時
