裏腹、恋してる (ページ28)

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二人の先生の言葉に、救われなかったと言えば嘘になる。

もう、あんなナースのことなんかどうでもよくなった。

「名取先生って、桜田先生が来られてから変られましたね」

「そんなこともないけどな」

なぜか桜田先生は嬉しそうに名取先生の顔を見ている。名取先生が桜田先生のことを小突いた。

「変わりましたよ。前は自分のミスも責任感じてない振りしてたような先生だったのに、人を庇えるような先生になったんですから」

「名取先生、そんな先生だったんですか？へぇ～」

名取先生が動揺し始めた。言い訳を考えてるのは見え見えだ。

「素直じゃないんですよ、名取先生は」

「あー、それはすっごくわかる！二週間でわかりますもん」

ちょっとだけ、面白いと思った。

何より普段嫌なほどスカしてるこの人が、これだけ素でいるのは。

きっと、隣にいるこの人のおかげなのだと見ていて思う。

「ああもう、人が気まぐれで助けてあげたらこれだよ。やってらんね～」

「え？助ける？何言ってるんですか名取先生」

「お前マジで気づいてなかった訳？やば」

どういうことなんですか！？と名取先生を問いただす桜田先生。

…なんか、この二人。

「お疲れ」

急に背後から聞こえた声に驚いて振り返ってしまう。

そこには緋山先生がいた。

「…お疲れ様です」

「何、あいつらまだ話してた訳？そんな暇あるなら回診しろっつーの」

呆れたように二人を見守る緋山先生。

「ま、考えすぎてなくてよかったけど。それから、雪村」

「はい」

「フライトナースって孤独よね。いつだって一人ぼっち。医者はあんなに戯れてるのにね。」

「………」

「一緒に患者を救う仲間でも、やっぱり私はナースと医師に壁はあるべきだと思ってる。

でも、孤独に頑張ってるフライトナースってさ、美しいよね」

緋山先生はそう言って、自分で「良いこと言った」と呟きスタッフステーションの方へ行ってしまった。

そんな緋山先生が、私はかっこいいと思う。