その喰種、措置 ページ7
朝餉を食べ終えた私は伯爵の提案でドレスを仕立ててもらった。
着物の帯とは違う、内蔵を締め付けられる感覚に貧血の症状が顔を出したが未知の生物「セバスチャン」に勘づかれてはたまらないとどうにか押し込んだ。
「流石ですお嬢様。バランス感覚が優れていらっしゃる」
「それはどうも･･･」
「坊ちゃんも本日はお嬢様に同行なさる様なので、遠慮せずお店にお入りくださいね」
仕上げにとおろしたてのピアス ホールにピアスを差し込まれた。
「勝手に消費を促すんじゃない」
と、ドアの向こうから伯爵のイラついた声が聞こえた。
「嗚呼それは申し訳ありません。今朝出費を惜しまないと仰っていたので」
「だから言うんじゃない！！」
「伯爵も砕けた会話をすることもあるのね」
「･･･早くしろ」
「御意」
「坊ちゃん、お嬢様が本日のお買い物をリストアップしてくださいましたよ」
「結構あるな･･･今日中に全て買えるか？」
「好みに左右されないものは私が。レ点の着いているものは直接お選びになられるものです」
―――·····
残暑。
ドレスのパニエがふくらはぎにへばりついて鬱陶しい。
街に出て直ぐ、日傘の購入を進められたが、日焼けしないし･･･と断ったのを後悔する。
「街も久しぶりだな･･･おい、画材屋があるぞ」
「じゃあ寄らせてもらおうかしら」
ここに来た目的は趣味での絵描きの他に筆洗油だ。
微量だか含まれているシンナーにある効果を期待している。
その効果とは、Rc抑制剤及び促進剤の匂いを紛らわすこと。まだ蓋は開けていないし、開ける予定もないがいざと言う時の為、自室はシンナーで満たしておきたいのだ。
「油彩一式とキャンバスをお願いします」
「ああ。」
続く
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作者名：目ん玉 | 作成日時：2020年10月2日 18時
