29話 side,レオ ページ31
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『それでね?その時瀬名くんが、私のこと思いっきり睨みつけたの!もーほんっとに出会った頃を思い出すなぁ〜』
レ「そうだなぁ。出会った頃のセナを思い出すな」
学園からの帰り道で、いつものようにAと並んで歩いていた。
おれはAとのこの時間を大事にしたいから、この時だけは作曲をしない。
前にそのことをA言ったら、私は彼女じゃないんだよ?って呆れたように言われた気がする。
でも、冗談抜きでもAのことは大切にしてる。
おれがボロボロに砕け散って、王座の椅子から転げ落ちて、地面に這いつくばって血を吐いていたあの時も。
《大丈夫》
《レオは何にも悪くないよ》
《みんな待ってるよ》
そう言葉をかけ続けてくれたのはAだから。
それでも前のおれは弱くて脆くて、そんな言葉だけじゃ自分の価値が分からなくて……本当は価値なんてないかもしれないんだけど。
おれがそれでもずっとうだうだ病んでる時、Aはおれを痛いくらい抱きしめて、
《愛してるよ。》
なんて、震える声で言ってくれた。
当然それは恋人に言うような愛してるじゃなくて、
おれがセナやリッツ、それこそAたちに言うような、特別じゃないけど特別な好き。
その頃のおれは、無意識に自分を愛してくれる人を探していたのかもしれない。
作曲とかも関係なく、‘’月永レオ”を愛してくれる人を。
そんなふうにおれを助けてくれたから、今度はおれがAの力になりたい、のに。
レ「なぁA。大丈夫か?」
『……なにが?』
レ「えっ、んーーと、なにがって言われると……ぐぁああ難しい!やっぱり言葉は不自由だ!難解だ!取り扱い説明書とかあったらいいのに!」
『ふふ、でも、あったらつまらないでしょ?』
レ「それもそうだ!理解できないからこそ理解しようとする!セナはもっとその場に相応しい言葉を選ぶんだけど、おれにはまだムリ!」
『でもレオには音楽があるからね。』
レ「そう!おれには言葉がなくても音楽がある……☆
あっまって今閃いた!あぁでも今はAと一緒にいる時間だし……!」
『ふふ、そんなに急がなくても……あ、ほら。ちょうど家に着いたよ、レオ。』
レ「おお、ほんとだ!じゃあまたな!」
『うん。また明日ね、レオ。』
「……また、はぐらかされた。」
おれはいつでも、Aの味方なのに。
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春(プロフ) - かすみさん» 読んでいただきありがとうございます!名前を変えるというのは、名字の変更が自由にできるようにするという解釈で大丈夫ですか?なるべく読者様が読みやすいようにしていくつもりなので、誤字脱字その他諸々、何でも言って下さい!コメントありがとうございます。 (2020年6月4日 17時) (レス) id: f38551527f (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - こんにちは!瀬名推しで楽しく読ませてもらってます(^^)お願いなのですが、名前の変更が出来るようにしてもらえると嬉しいです(*_*)今後の更新も楽しみにしてます! (2020年6月4日 14時) (レス) id: 46b3b2d0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2020年5月18日 14時