22話 side,泉 ページ23
そう言った途端、王さまの顔がまた曇った。
レ「……知り合いだよ。セナにとって、すごく大事な知り合い。忘れちゃったならしょうがないけどさ。」
ちょっと悲しそうに笑う王さまに、思わず口を開いてしまった。
泉「どんな関係だったか聞けば、思い出せるかもしれないけど……。あんまり期待はしないでよねぇ?」
でも、彼は変わらず悲しそうな顔で首を振った。
レ「いや、いいよ。おれの予想だと、きっとセナはそれもすぐに忘れるんだ。あの子のこと全部。もう覚えることも許されないんだろうなぁ。」
泉「ちょっと、それどういう意味なの?」
レ「そのまんまだよ。ピアノが無ければ曲を披露できない音楽家のように、好きな人がいても愛がなければ恋は始まらない。第三者であるおれはどうする事も出来ない。」
泉「はぁ……?」
相変わらず、コイツの言葉は例えも全部意味がわからなくて理解に苦しむ。
ただわかることは、俺はさっき会ったアイツのことを本当は知っているらしいってことだ。
それからもっと教えてくれるのかと思っていたのに、
《どうせ忘れるんだから言ったって無駄だろ?》とはぐらかされ、一人空き教室に取り残された。
王さま曰く、
「セナがいると泣けなくなるから」らしい。
誰がなんで泣くのかは教えてくれなかったけど。
教室の中の使っていない机に腰掛け、ため息をついた。
先ほどまで話していたからか、さっきの女子の顔が頭に浮かんだ。
けど、次第に頭の中でモヤがかかって、髪色しか思い出せなくなった。
「アンタは、俺のなんなの……?」
ボソリと呟いた言葉が、誰もいない教室に反響した。
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春(プロフ) - かすみさん» 読んでいただきありがとうございます!名前を変えるというのは、名字の変更が自由にできるようにするという解釈で大丈夫ですか?なるべく読者様が読みやすいようにしていくつもりなので、誤字脱字その他諸々、何でも言って下さい!コメントありがとうございます。 (2020年6月4日 17時) (レス) id: f38551527f (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - こんにちは!瀬名推しで楽しく読ませてもらってます(^^)お願いなのですが、名前の変更が出来るようにしてもらえると嬉しいです(*_*)今後の更新も楽しみにしてます! (2020年6月4日 14時) (レス) id: 46b3b2d0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2020年5月18日 14時