【実.況.者】Link of Seasons Ⅱ【マリカ実.況.者】 (ページ10)

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day54:螢羅ページ10

～～～うばまろ～～～
塾からの帰り道。
スマホが鳴って、確認する為に立ち止まって鞄を漁る。
取り出して少し弄ると、Aの名前と
ラインメッセージが画面に表示された。
『＜今何してるの？＞』
う「＜塾が終わって、家に向かってる所。＞」
『＜今から行って良い？＞』
う「＜今から？Aが帰る頃には絶対暗くなってるよ。＞」
『＜大丈夫！そうなったらまろに送って貰うから！＞』
う「何だそれ…。」
思わず口に出しちゃったじゃねえか。
口に出た言葉ををそのまま文字に起こして、画面をタップする。
まあ、それでも良いかなんて思いながら。
また返事が来る。
俺の家の近くにあるコンビニで待つらしい。
俺は了解と打って、鞄にスマホを仕舞ってコンビニに向かった。

入ってすぐの所に、Aはいた。
う「…立ち読みする位なら買えよ。他の客に迷惑だろ？」
『いやー、続きが気になって。』
少年漫画雑誌を立ち読みして。
雑誌を戻し、こちらを見てくる。
『じゃあ行こっか。
ちょっと、まろに相談したい事があって。』
う「相談？」
『うん。ラインよりも会って話したかったから。』
それで呼び付けたのか。
どんな事でも、俺を頼ってくれるのはやっぱり嬉しい。
後、Aが俺の事を＜まろ＞って呼ぶ度に
心がこそばゆく感じるのは絶対気のせいだ。
体温が上がっていく気がするのも気のせい。

流石に女の子一人を家に上げる訳にはいかないので、
歩いてすぐの公園に来た。
ここからなら送って帰れる。
子どもの姿が無いのも手伝って、夕暮れ時の公園は
どこか別世界の様な雰囲気を醸し出している。
そこのベンチに隣り合って座ると、早速Aが話し出す。
要約すると、昨日ズズと一緒に帰っている時に
今時漫画でも有り得ない様な胸キュン展開があったのだと。
そのせいで、ズズがまともにAと話せなくなってしまったという。
そんなAも、ずっとドキドキしていた様で。
そのドキドキの原因を、何人かに訊いて回っていた事も話していた。
聞いている内に何故か心の奥がキリリと痛み出してくる。
その原因が、分かってしまったからだ。
周りからカンが鋭いとは言われているが、それが嫌になる時が来るとは。
そんな自分を誤魔化す様に、そしてAにそれを悟られない様に。
『…まろ？』
隣り合った手を、そっと握った。
う「…その、小さい時に親に言われてさ。
＜困ってる人には手を貸してあげて＞って。」
咄嗟に吐いた嘘だけど、そう言わなきゃ俺が安心出来ねえよ。