Cinderella (ページ34)

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☆34 ページ34

橙side

橙「………おめでとうございます」

黄「その間は何やねん」

橙「いやー、そりゃ急に言われたらびっくりしますよ！だから来た時、なかなか取り次いでもらえなかったんですかね？」

王子の婚約者に変な虫がついたらいかんやんな。

よしよし納得。断じて僕が変な人やと思われた訳やないね。

それにしても、この人は本当に不器用やなぁ。

俯いて自分の指をいじって、ふて腐れて。

「Aん事、取らんで、取らんで」って全身で訴えとるみたいやわ。

橙「僕にとっては妹みたいなもんなんです。泣かさんで下さいね？」

こんだけ好いてもらっとるなら、きっと大丈夫やろ。

黄「……おん。大事にする」

顔を上げた王子と、この日初めて目が合った。

紫「ほな、そろそろお開きにしよか～？」

シンゴ王子の声に時計を見ると、もうすぐ０時。

橙「もうこんな時間なんや。日付が変わりますね」

青「日付が…」

シ「…変わる…？」

急にオタオタし出したAと、慌ててどっかに走り出したショータ。

何？何かあるん？？

すばるくんとタチョがそろりとAの前に移動すると同時に、Aの服が光り出した。

橙「えっ！あっ！？」

シ「いやぁぁぁっ！」

紫「？？」

青「Aちゃん！！」

黄「Aっ！！」

ぱっと立ち上がったリョウ王子が、脱いだ上着をAにかけた。

シ「あ、ありがとう…」

黄「…おん」

この光景…、どっかで…。

服の下でもぞもぞしとったショータが、顔を出した。

シ「ショータも、ありがとうね」

青「…ううん。僕だけやったら隠しきれんかったと思う」

しょんぼりと言うショータ。

テーブルの上にあったナプキンを手一杯広げて、Aの胸元を隠したんやな。

シ「いいんよ。その気持ちが嬉しいから。……ところで、何でこの事すばるさんが知っとんの？」

緑「あー、この前ん時、リョウちゃんが見えたって言っとったから…」

黄「タチョ！アホ！！」

シ「リョウー！！」

バタバタと駆け回る2人と、それを笑って見ている皆。

仲ええなぁ。

良かったな、A。

今度はもっと遠くに行ってみようと思うねん。

これで心置きなく、旅に出れるよ。