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黄side
引き抜きに来てみれば、案の定な感じやった。
前より痩せてまって…。
もっと早く来てやれたら良かった…。
小さい鞄を一つ持って降りてきたAちゃんをエスコートして、馬車に向かう。
玄関を出る時、Aちゃんはオトンの方を見て、「お世話になりました」と呟いた。
実の娘なんやろ?…何で何も言わんの…?
決別するように迷いなく歩き出したその足は、真っ直ぐに馬車に向かって行った。
…ジャリ…
橙「…A?」
シ「……え……隆ちゃ…?」
……誰や…
聞いたことのない嬉しそうな声に、胸がぎゅっとなった。
シ「…帰ってきたん?旅は…?」
黄「お前、誰や」
その男の方に行こうとしとったAちゃんを、抱き止める。
親しげに話すなや。
シ「…王子」
橙「王子…あぁっ!リョウ第二王子やん!!何でこんな所におるんですか?」
黄「こいつを迎えに来たんや」
シ「王子のお世話係をする事になったんよ。…もう、会えんかと思っとった」
ぐはっ。
切なげなその笑顔の破壊力といったら!
それが俺に向けられたものじゃないのが、気に食わんけど。
橙「またすぐに出るよ。今度は西の方に行くねん。あっ、これお土産やで?向こうで発掘されたクリスタルやねんって。Aっぽいって思って持って来たん」
シ「…ありがとう」
見ていて、Aちゃんの気持ちは誰にでもわかったと思う。
それに気づいていないのは、目の前の男だけ。
…何でやねん。そんな顔させんなや。
「ほなな〜」と帰るそいつを、無理矢理の笑顔で見送って、Aちゃんは馬車に乗り込んだ。
黄「…大事にしぃや」
シ「…え…っ?」
黄「クリスタルって魔除けになるらしいで?Aちゃんをきっと守ってくれるよ」
あいつはきっとまた、どっかへ行ってしまうんやろうけど。
黄「好きやったんやろ…。あいつの事」
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作者名:hio | 作成日時:2014年2月18日 20時