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☆11 ページ11

黄side




引き抜きに来てみれば、案の定な感じやった。




前より痩せてまって…。

もっと早く来てやれたら良かった…。




小さい鞄を一つ持って降りてきたAちゃんをエスコートして、馬車に向かう。




玄関を出る時、Aちゃんはオトンの方を見て、「お世話になりました」と呟いた。




実の娘なんやろ?…何で何も言わんの…?




決別するように迷いなく歩き出したその足は、真っ直ぐに馬車に向かって行った。








…ジャリ…




橙「…A?」




シ「……え……隆ちゃ…?」




……誰や…

聞いたことのない嬉しそうな声に、胸がぎゅっとなった。




シ「…帰ってきたん?旅は…?」




黄「お前、誰や」




その男の方に行こうとしとったAちゃんを、抱き止める。


親しげに話すなや。




シ「…王子」




橙「王子…あぁっ!リョウ第二王子やん!!何でこんな所におるんですか?」




黄「こいつを迎えに来たんや」




シ「王子のお世話係をする事になったんよ。…もう、会えんかと思っとった」




ぐはっ。

切なげなその笑顔の破壊力といったら!


それが俺に向けられたものじゃないのが、気に食わんけど。




橙「またすぐに出るよ。今度は西の方に行くねん。あっ、これお土産やで?向こうで発掘されたクリスタルやねんって。Aっぽいって思って持って来たん」




シ「…ありがとう」




見ていて、Aちゃんの気持ちは誰にでもわかったと思う。


それに気づいていないのは、目の前の男だけ。




…何でやねん。そんな顔させんなや。




「ほなな〜」と帰るそいつを、無理矢理の笑顔で見送って、Aちゃんは馬車に乗り込んだ。




黄「…大事にしぃや」




シ「…え…っ?」




黄「クリスタルって魔除けになるらしいで?Aちゃんをきっと守ってくれるよ」




あいつはきっとまた、どっかへ行ってしまうんやろうけど。




黄「好きやったんやろ…。あいつの事」

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作者名:hio | 作成日時:2014年2月18日 20時

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