sympathy 2 (ページ9)

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赤side

目の前には、毛布に包まれたなだらかな曲線が広がっている。

いつもアップに結われている亜麻色の髪は、細い肩やシーツの上に散らばっていて。

美「…ん…、ごめん、寝ちゃってた…」

赤「ええよ。無理させたかもしれんし」

美「……ばか」

音大に通う美都の部屋に着いたのは、午前1時。

バイトが終わってから、何となく誘われて、何となくついて行った。

そっと伸ばされた手が、俺の頬を触り、顎のラインを撫で、耳朶を触った。

大体、この後に続く言葉は2通り。

「私のこと好き？」的な気持ちを欲しがる言葉か、身体の関係を望む言葉か。

美「すばるの…声が欲しいな…」

赤「ふはっ、以外な台詞やなぁ。でも、それはやれへんわ…」

贅沢な奴や。気持ちよりも、それはやれん。

頭の後ろに手をまわして、ぐっと引き寄せる。

赤「なぁ、もう一回…」

今までの、冷めた気持ちで抱くのとは違って、何か今日は暖かい。

「上になって」とおねだりをして、恥ずかしそうな美都を揺さぶれば、自分もまたすぐに限界がきて、果てた。

そのまま眠ってしまった俺は、久しぶりにAの夢を見た。

七「ばる」

中3の冬、学校をさぼったAと、高校をさぼった俺は、Aの部屋におった。

「何か歌って」と言うAに、適当な曲を歌いながら、こうやって俺を呼ぶ声が好きやなぁと、ぼんやり思った。

話したり、話さなかったり、違うことをしてても通じていたり。

俺らの間にも、シンパシーあったやんなぁ。

何で、何がヤスと違ったん？

目を覚ますと、隣に美都はいなくて、扉の向こうから光が漏れていた。

何で…、こんな夢。

近くにあったTシャツを羽織り、そっとベッドから降りて小さな廊下に出る。

キッチンとリビングが一緒になったそこにはピアノが置いてあって、ヘッドホンをしながらシャツ一枚で弾いている美都がおった。

俺の黒シャツと白い手足の対比がやらしい。

一心不乱に、何の曲を弾いとんの？

そっと背後に近づいてヘッドホンを取れば、驚いた美都が見上げてくる。

赤「続けて」

椅子の空いているスペースに腰かけてヘッドホンをすれば、耳には2、3年前に流行ったラブソングが聞こえてきた。