sympathy 2 (ページ8)

今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:4,947 hit

#32 ページ8

緑side

「ブランケット返したいんやけど、今家におる？」

30分前に送ったメールに、返信はまだない。

以前の俺なら、返すのを口実にデートに誘い出しとったと思う。でも最近は気分が沈んどって、そんな気分にならんかった。

部屋の片隅に置いてあるブランケット達を見つめては、学校に持って行くこともせず、迎えた週末。

かけてくれたのは、めっちゃ嬉しかってん。

しかも3枚も。見たことのあるこの柄のは、希美ちゃんと陽子ちゃんのやんなぁ。早く返さないかんってわかっとるんやけど…。

ずっと待つって言ったけど、辛くなってきたんかもしれん。

「ごめん、今でかけとって。これから電車乗って帰るから、1時間くらいかかるかも。ブランケット、明日学校でもらっていい？」

Aちゃんからのメール。…誰と出かけとんの？

ヤスが図書当番を木曜に変えのを見て、Aちゃんへの気持ちを自覚したって気づいた。

Aちゃんもヤスを好きやんなぁ。もう望みないやん。

返信をしないまま、駅に向かった。

1時間後、改札を出てきたAちゃんの隣には、やっぱりヤスがおった。

こっちに歩いてくる2人を見ていたら、ヤスの唇がテカってるのに気づいて。

グロス……？

もう、痛くて、苦しくて…。早く終わらせたい、そう思った。

緑「これ、返すな。ありがとう」

2人に近寄って、ブランケットを渡す。

笑ってんのか泣いてんのか、自分でもどんな顔をしてるのかわからない。

驚く2人に構わず、無理矢理袋を押し付けて、来た道を戻る。

七「……たっちょん…っ！」

緑「っ！来んで！！」

追いかけてきたAちゃんを拒んで、歩き続ける。

今は何も聞きたくない。

泣いてるこんな顔も見られたくない。

ありがとう、も、幸せに、も言えんけど…。

好きやった。大好きやったよ。

涙が止まらなくて。

泣きながら、家までの道を歩いた。