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七緒side
待ち合わせのロータリーに行くと、既に章ちゃんは来ていて、ベンチに座って空を見ていた。
どんな空が見えてるん…？
同じように見上げると、澄んだ高いキレイな冬の空が広がっている。
空なんて見上げたの、久しぶりやなぁ。
心の中のモヤモヤも、すーっと晴れていくような気がした。
青「いい天気やねぇ♪」
知らない間に隣まで来ていた章ちゃんに、声をかけられる。
青「来てくれてありがと。行こっか」
2人並んで、駅の中を歩いていく。
ミュシャ展をやっている美術館は、ここから電車で1時間くらい。改札を通って電車に乗り込んだ。
絵具箱みたいやなぁ。
明るい茶色の髪に、カラフルな私服。鞄には色とりどりの可愛い缶バッチがついとって、その楽しい色彩にワクワクする自分がおった。
ええな、そういう所。
好きな服があっても人の目ばかり気にして、無難なものばかり着てしまう自分とは違って。
私も、好きな服を着て好きなことをして、これが好きなんやって堂々と言えるようになりたいな…。
青「Aちゃんはどの絵が好きやった？」
展覧会を見終わると、遅めのお昼を食べに近くのファーストフード店に入った。
七「小さいやつやねんけど、羽を持った女の人の絵かな。わかる？」
青「あぁ、髪をアップにした、ちょっと気品あるっていうか、凛とした感じのやつやんなぁ！僕はワインのラベルになったってやつが好きやわぁ」
こうやって見てきた感想を話せるのも楽しい。
七「ピンクの服のやつやろぉ？優しい表情の絵やったね。彼女さんもああいう優しい感じの人なん？」
青「…百合とは、別れたねん。他に好きな子ができて…」
そうやったん…。
「ごめんね、変なこと言って」と言うと、章ちゃんは真っ直ぐこっちを見て「…違う」と呟いた。
青「こういうと、最低な男やねんけど、できた、んやない。出会った最初から、きっとその子が好きやってん。でも、自分で気づかんかった」
俺、ばかやねん。
小さく笑う章ちゃんに、「そんなことないよ」と答えた。
七「自分の気持ち、わからん時あるよ…」
青「…Aちゃんもそうなん？」
七「おん…」
フラフラ気持ちが揺れて、こんな自分は大嫌い。
章ちゃんが伝票を持って立ち上がった。
青「出よか。行きたい所があんねん」
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作者名：hio | 作成日時：2014年2月4日 1時
