sympathy 2 (ページ23)

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番外編 RED① ページ23

赤side

東京での仕事が少しずつ入ってくるようになった頃、バイトを辞める話をしに、いつもより早目にrossoへ行った。

これからのことや、今までの礼なんかを話してバックヤードを出れば、ピアノの音を確かめとる美都がおって。

赤「今週で、ここ辞めるわ」

美「良かった。仕事、上手くいってるのね」

きれいな笑顔。

俺もなかなか人に見せん方やけど、それ以上にわからん美都の気持ちが知りたくて、細い二の腕を掴んだ。

赤「今日、家行ってもええか？」

美都の部屋に着くと、珍しく何もせんで、コーヒーなんか出してもらって。

赤「なぁ、俺ん事、どう思ってる？」

美「素晴らしい声を持つ、ずば抜けた才能の持ち主。…その声、大好きよ」

赤「…他は？」

美「さぁ…？歌ってないすばるだったら、惹かれたかわからない…かな？」

赤「何やそれ。ひどいなぁ」

何か食べる？と美都はキッチンに向かった。

何で？

何で「私の事は？」って聞かんの…？

赤「美都……」

名前を呼べば、菓子を皿に出していた美都の手が止まった。

美「遠くに行くのに…、これ以上入ってこないで」

赤「…なぁ、…好きって言って？」

歌ってる俺も、歌ってない俺も、好きやって言って？

力なく首を振るその後ろ姿を見ながら、そっと手をとった。

美「ごめん、今日は帰ってくれる？」

あれから2週間、バイトも終わってまったし、会う口実もなくて、連絡先を知っとる携帯も鳴らないままで。

∞の部室でだべっていると、大倉がこそっと話しかけてきた。

緑「なぁ、すばる君。Aちゃんとなかなか、その、先に進めんのやけど、どうしたらええかなぁ？」

あ！？知らんがな。

ってかそんなん俺に聞くなや！生々しい。

赤「押し倒してぶちゅーっとすりゃええやろ！あいつもお前ん事好きなんやから」

緑「あかんねん、何か緊張してまうし…」

乙女か！

「待たせて浮気されても知らんで」と言って外に出ると、携帯を出して美都の番号を呼び出した。